「ヒートショック」という言葉を聞いたことがありますか?
ヒートショックとは暖かい部屋から寒い部屋へ移動した時に、急激な気温の変化によって心臓などの疾患が起きる症状を指します。
高齢者の方はが脱衣所でいきなり倒れて亡くなってしまった、なんてニュースをたまに聞きますが、それはヒートショックという症状だったんですね。
名称は何だか、冬には欠かせない暖かい肌着と似ていますが、そんな温もりを感じるような事態ではありません!
ヒートショックは命を落としかねないので、しっかりと対策を取ることが重要なのです!
そこで今回は、ヒートショックの対策について解説していきます!
ヒートショックが起きやすい場所ごとの対策を紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてください!
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ヒートショックとは?
ヒイートショックとは、暖かい部屋から寒い部屋への移動など、気温の変化によって体に起きるショックのことをいいます。
主に、心臓や血管の疾患などが起きます。
気温の変化によって血圧が上下するので、脳内出血や大動脈解離、心筋梗塞、脳梗塞などの病気が起こることもあるのです。
なんと、ヒートショックで死亡した人は交通事故よりも多く、年間で約14,000人の人が亡くなっています。
交通事故では年間7,000人の人が亡くなっているというデータがありますので、その倍の死亡者というのには驚きです。
10℃以上の温度差がある場所は血圧が上下するので危険とされていますが、暖房がついている部屋と暖房がついていない浴室やトイレとの温度差は約10℃と言われています。
暖かいリビングから寒い脱衣所に移動したときに、体がブルブルと震えることはありませんか?
それは、体温調節をするために筋肉を震わせて熱を作っているのです。
同時に血管を細くして体内に流れる血液の量を減らし、作り出すと熱を体外に逃がさないようにしています。
まずここで、血管が縮むことによって血圧は急上昇します。
その後、温かい浴槽に浸かることで、血圧が膨張し、今度は血液が急激に低下してしまうのです。
その後もお風呂から出て頭を洗ったり、寒い脱衣所に出て着替えたりするので、入浴という一連の行為は血圧の上下がとても激しいのです。
若い人や健康な人であれば、血圧の急激な変動にも耐えられるかもしれません。
しかし、高血圧や糖尿病などが進行した高齢者では、血圧の変動による疾患を引き起こしやすくなっています。
ヒートショックになりやすい人の特徴は、後で詳しく説明しますので忘れずにチェックして下さい。
また、ヒートショックの危険は心臓や血管の疾患だけではありません。
血圧が低下することでふらつきやめまいが起き、転倒してしまうだけではなく意識を失ってしまうこともあります。
入浴中に意識を失ってしまえば、溺死をしてしまう可能性もあるということです。
ヒートショックが起きやすい場所
ヒートショックが起きやすい場所は、トイレ・洗面室・浴室など、温度差が激しい場所です。
特に冬場は冷え込みますので、ヒートショックが起きやすいとされています。
ですので、時期的には11月~2月くらいまでが、ヒートショックの好発時期でしょう。
トイレでは、排便をしようとするといきんでしまい、血圧が上がりますが、排便後は血圧が低下するため、ヒートショックが起こりやすいとされています。
ヒートショックになりやすい人の特徴
以下の項目に当てはまる人ほど、ヒートショックになりやすいです。
自分や周りの人に当てはまる項目がないか、しっかりと確認しておきましょう。
- 65歳以上(特に75歳以上)
- 狭心症・心筋梗塞・脳出血・脳梗塞の病歴がある人
- 不整脈・高血圧・糖尿病の疾患がある人
- 飲酒直後に入浴する、食後すぐに入浴する、薬を飲んだ直後に入浴する、一番風呂をする、深夜に入浴する、42℃以上の暑いお湯に首まで長く浸かるなどの習慣がある人
- 浴室・脱衣所・トイレに暖房設備がないので冬場は寒い
- 浴室がタイル貼りで窓があるため冬場は寒い
- リビングと浴室・トイレが離れている
ヒートショックの対策とは?
ヒートショックを起こさないために、様々な対策を取ることが大切です。
では、ヒートショック対策を、入浴時とトイレにわけて説明していきます。
一緒に確認していきましょう!
入浴時の注意点
まずは、入浴時の注意点を確認していきましょう。
- 入浴前後は水分補給をしよう!
- 入浴の1時間前に食事を済ませよう!
- お酒は入浴後に飲もう!
- 部屋間の温度差をなくそう!
- ゆっくり温まろう!
- 湯船の温度は低めにしよう!
- 長風呂は避けよう!
- 浴槽からは急に立ち上がらないようにしよう!
- 浴室には手すりを付けよう!
- 周りの人が声かけをしよう!
入浴前後は水分補給をしよう!
入浴すると汗をかき、体内の水分が発散されます。
そのため、血液がドロドロになってしまうのです。
血液がドロドロになると血栓ができやすく、そのまま血圧が上がってしまうと脳梗塞や心筋梗塞の原因となります。
入浴前と入浴後で水分を補給しておくことで、脳疾患など引き起こさない身体状態を作っておきましょう。
入浴の1時間前に食事を済ませよう!
食後は消化を促すために、消化器官に血液が集まっています。
ですので、身体全体の血圧は低めになっています。
その状態ですぐに入浴をして血圧を上げてしまうと、血管内の変動が激しくなり、ヒートショックを引き起こしやすくなるのです。
お酒は入浴後に飲もう!
お酒を飲むと、血管が膨張し血圧低下が起きます。
酔いが回ると体の反応も鈍くなり、転倒しやすくなるでしょう。
ヒートショックのみならず危険性が高まるので、飲酒直後の入浴は避けた方がいいでしょう。
部屋間の温度差をなくそう!
温度差がヒートショックを引き起こす原因なのであれば、その温度差という根本を解決してしまえばいいのです!
ですので、脱衣所や浴室、トイレに暖房器具などを設置して温かい空間を作っておきましょう。
たしかに、浴室に暖房器具を設置するのは難しいかもしれません。
そのような場合は、浴槽にお湯をためるときにシャワーを使って高い位置からお湯を注いだり、お湯が溜まった浴槽の蓋を開けておいたりすれば、浴室は暖かくなります。
またできるだけ1番風呂は避けて、浴室が温まっている2番目以降に入浴することがオススメです。
ゆっくり温まろう!
湯船に浸かる時は、いきなり浴槽に入ることは避けましょう。
心臓に遠い手や足からかけ湯を行い、十分にお湯の温度を体に慣らしてから浴槽に入ってください。
そうすることで急激な血圧の変動を防ぐことができます。
最初に頭や体を洗って、体を温めておくのもいいかもしれませんね。
長風呂は避けよう!
長い時間湯船に浸かってしまうと、心臓に負担がかかり疲労感が増します。
どんなに健康な人でも長風呂をしてしまうと、のぼせてしまってクラクラしてしまいますよね。
そのような状態であると、湯船から上がったあと転倒しやすくなってしまいます。
また、長湯をしてしまったことで血圧が下がり過ぎてしまい、入浴後の上昇した血圧との変化が大きくなり、ヒートショックの症状が発生しやすくなるのです。
浴槽には手すりを付けよう!
手すりを付けておくことで、万が一転倒しかけても、つかむことができ転倒での怪我を防ぐことができます。
周りの人が声かけをしよう!
もし入浴中にヒートショックが起きても、ご家族や周りの人がすぐに気付ければ、溺死という最悪の状態を防ぐことができます。
実際に、銭湯などの公衆浴場では死亡事例が少ないです。
高齢の親などと同居しているご家族は、入浴中にできるだけ声かけをし、安否確認をしてあげることも大切でしょう。
トイレでの注意点
次に、トイレでの注意点を一緒に確認していきましょう。
- 寝室はトイレの近くにしよう!
- 暖房器具を置こう!
- いきみすぎないようにしよう!
寝室はトイレの近くにしよう!
高齢者は、夜中に目が覚め、頻繁にトイレに行くことが多くあります。
起きた直後に寒いトイレに行くことは、負担がかかる行為でしょう。
冬場であればトイレに行くまでの廊下までもが寒いはずです。
できるだけ寒いというリスクを回避するために、寝室はトイレの近くにしておきましょう。
暖房器具を置こう!
浴室と同様、トイレも小さな個室であり、寒い空間であるのが一般的です。
最近では、トイレのような空間でも置ける小さい暖房器具も販売されています。
また、トイレに行くというのは人間の生理現象なので、いつ行きたくなるか事前には分かりませんよね。
ですので、人感センサー付電気温風機など、トイレに入ったら自動で起動される暖房器具などもオススメです。
いきみすぎないようにしよう!
排便の際にいきみすぎてしまうと、心臓への負担がかなりかかってしまいます。
排便後は急激に血圧が下がりますので、排便というのは血圧の上下が激しい行為でもあるのです。
ですので、変な話ではありますが、普段から便秘にならないよう対策をしておくことも重要です。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ヒートショックの対策については理解していただけたでしょうか?
今回紹介した対策を、ぜひ徹底してみてください!
対策も大事ですが、なにより高齢者とそのご家族が、浴室やトイレでヒートショックが起きやすいという事実を認識しておくことが大切です。
家庭内でコミュニケーションをとりながら、ヒートショックの危険性を共有しておくようにしましょう。
高齢者の方が、いつまでも健康に暮らしていける環境を作ってあげてくださいね!