嚥下障害は高齢者の方であれば誰しもが患う可能性のある障害です。
人間の三大欲求のうちの一つに食事がありますが、嚥下障害を患うとそれを満足に行えなくなる可能性があります。
今回の記事では、嚥下障害についての基礎知識や原因、対策方法などを紹介します。
ぜひ参考にしてくださいね!
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嚥下障害とは?
嚥下障害というのは、食べ物をうまく飲み込めない状態のことを指しています。
嚥下というのが『飲み込む』ことを指していて、その行為に障害が起きてしまうので、嚥下障害と呼ばれています。
嚥下障害になってしまうと、食事が嫌になってしまい、人生の楽しみが減ってしまいます。
それだけではなく、嚥下障害を放っておくと、最悪命を落としてしまうことになるので注意が必要です。
具体的には、『誤嚥性肺炎』という命が危険に晒されるような病気を引き起こす原因になります。
また、食事中に食べものをうまく飲み込めずに窒息死してしまうこともあるので、かなり重大な障害だということを覚えておきましょう。
嚥下障害を引き起こしてしまう原因
嚥下障害が起きてしまう原因は主に3つあります。
- 老化
- 病気
- 精神的な要因
これらが嚥下障害の原因となる要因です。
一つずつ解説します。
老化
年齢を重ねるごとに、全身の筋力というのは衰えてしまいます。
噛む力、飲み込む力も例外ではありません。
このように筋力が低下してしまうことによって、食べ物を口の中で噛み切れなかったり、口の中のものを飲み込めなかったりしてしまうのです。
病気
年齢的な原因だけではなく、病気によっても嚥下障害は起きてしまう可能性があります。
口の中の痛みやのどの痛みによって飲み込み辛くなってしまうことや、食道がんや舌がんなどによっても嚥下障害は引き起こされてしまう可能性があります。
また、脳卒中や認知症のような脳の機能が低下してしまう病気になってしまった場合にも嚥下障害が起きる可能性は高いです。
特に認知症は、脳が委縮してしまうので、寝たきり状態になって噛む力や飲み込む力がほとんどなくなってしまいます。
最終的には食事はドロドロした介護食を食べることになるでしょう。
精神的な要因
ストレスを感じることによっても、飲み込み辛く感じてしまうことがあります。
また、上記で紹介している病気と組み合わさることによって進行スピードが速まってしまう可能性もあるということを覚えておきましょう。
嚥下障害では、せきやむせてしまうことも見られるのですが、高齢者の場合には嚥下が困難になるだけという場合もあります。
それが発展してしまうと脱水症状や栄養失調に繋がってしまうので、飲み込む力の低下は必ずケアしましょう。
嚥下障害の症状
どのような症状が出たら嚥下障害と気づくことができるのか、気になりますよね。
嚥下障害になるとこれらの症状が現れるので当てはまるものがないか確認してみましょう。
- 食事をすると咽る
- 固形物を飲み込めなくなる
- 食事をすると疲れてしまう
- 声が枯れる
- 体重が減る
嚥下障害の症状について一つずつ解説します。
食事をすると咽る
食事の時にむせやすいという方は要注意です。
むせやすい食べ物は、お味噌汁や飲み物などの水分が多い食べ物です。
また、自分自身の唾液を飲み込もうとしてむせてしまうということもあるので、このような症状がないか確認してみましょう。
固形物を飲み込めなくなる
固形物をしっかりと噛むことができずに、飲み込めなくなってしまうことがあります。
固形物が噛めなくなってしまうと、麺類のような、噛まなくても飲み込める食事ばかりするようになってしまい、栄養が偏ってしまうことがあるので注意が必要です。
栄養が偏ってしまうと、ほかの病気を引き起こしてしまう可能性に繋がってしまうので、なるべく早い段階で気付くことが望ましいです。
食事をすると疲れてしまう
噛み切れないという状況になったとしても、噛まないと飲み込めないため噛む努力はしてしまいます。
それ自体はいいことなのですが、食事に時間が掛かってしまい、だんだんと食事自体に疲れを感じるようになります。
それに加えて、だんだん噛む力がなくなってしまい、好きなものが食べられなくなってしまい、食事自体がつまらなく感じてしまうでしょう。
このような負の連鎖によって食事自体が嫌になり低栄養状態に陥ってしまうことに繋がります。
声が枯れる
食事を終えた後に声がかすれてしまったり、痰が絡みやすくなったりすると、嚥下障害を疑ったほうが良いかもしれません。
ガラガラした声質になるので、食事中に会話をして確かめてみましょう。
体重が減る
上記のすべてが原因となり、食事をだんだんと、取らなくなってしまいます。
また、食事をするにしても食べやすいものばかりを食べるようになって栄養が偏ってしまいます。
それらが原因で、体重が減っていってしまうので、当てはまるようであれば気を付けましょう。
嚥下障害の治療方法
嚥下障害の治療方法について解説します。
基本的には病院に通って行うことが多いのですが、1人でできることもあるのでぜひ参考にしてください。
- リハビリテーション
- 手術
これらについて詳しく解説します。
リハビリテーション
リハビリでは、関節訓練をすることで舌や口の機能を回復させます。
リハビリには、
- 口周りの運動
- 発声トレーニング
- 呼吸法
の3つのトレーニングがあります。
口回りの運動
手や道具を使って舌や口回りの筋肉を活発に動かすトレーニングです。
口回りの動きがスムーズになれば、噛む力や飲み込む力に必要な筋力をアップさせることに繋がります。
発声トレーニング
食事の前に『パ行・ラ行・タ行・カ行・マ行』の発音を繰り返すことで嚥下障害の対策をすることができます。
これを繰り返し行うことで、飲み込む際に使う力を鍛えることができるので、1人でも試してみましょう。
呼吸法
リラクゼーションというトレーニングで、深呼吸や肩や首のストレッチを行うことで上半身をリラックスさせる行為です。
高齢者になってくると、体が固まってしまいがちなので、全身の力を抜く訓練をリラクゼーションで行います。
また、深呼吸もトレーニングに入ります。
深呼吸なら誰でもできると思うかもしれませんが、食べ物が気管に入ってしまったときに、とっさの行動として深呼吸ができるようにするためのトレーニングです。
手術
残念ながらここまで紹介したリハビリテーションを行ってとしても、大幅な機能改善は見込めません。
リハビリを行ったとしても、進行が止まらない場合には障害が起きている個所に手術をすることになります。
手術は2種類あり、
- 嚥下機能改善手術…口からの食事を可能にする
- 誤嚥防止手術…誤嚥を防止する、ただし発声機能が失われる可能性もある
です。
いきなり手術になるということはないので、まずはかかりつけ医に相談することをおすすめします。
嚥下障害の予防方法
嚥下障害を予防する方法としては、食事時の対策が大事です。
具体的には、
- 飲み込みやすい食事を意識する
- 食事をするときの姿勢をよくする
これらを意識して食事を行いましょう。
飲み込みやすい食事を意識する
飲み込みやすい食事というのは、ゼリー状の食べ物やソフト食と呼ばれるような介護食のことを指します。
飲み込む力がどれほどあるかによって、段階的に食事を変化させていきましょう。
また、介護食を食べるまではいかないという方であれば、食べ物をなるべく細かく刻む、潰すなどして対応しましょう。
食事をするときの姿勢をよくする
食べる時に姿勢が悪いとそれだけで嚥下障害を起こしてしまう可能性に繋がります。
意識する点としては、
- イスにまっすぐ座る
- できるだけ背筋を伸ばす
- 首を伸ばす
です。
また、口に食べ物を含んでいる時には人と話さずに、噛むこと、飲み込むことに注力しましょう。
まとめ
高齢者の方であれば誰しもが嚥下障害になる可能性があります。
嚥下障害と思われる症状が見られたら、リハビリや病院に行き適切な処置をしてもらいましょう。
また、口腔内の細菌を繁殖させたまま誤嚥を起こしてしまうと、違う病気を引き起こしてしまう可能性もあるので、口腔ケアも忘れずに行ってください。
嚥下障害をよく知り、対策をしておきましょう。