「老老介護」という言葉をよく耳にしませんか?
高齢者が高齢者に対して介護することを指し、現在では社会問題となっています。
高齢化が進んでいる日本では、老老介護の件数も増加傾向にあり、いつしかあなたが当事者になる可能性も高くなってきています。
そのため、もはや他人事ではない「老老介護」について、しっかりと理解しておくことが必要ですよね。
そこで今回は、老老介護の問題点について詳しく解説していきたいと思います!
解決策も紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
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老老介護とは?
老老介護とは、65歳以上の高齢者を同じく65歳以上の高齢者が介護している状態のことを指します。
高齢の夫婦や親子、兄弟同士が介護し合うケースです。
2016年に行なった厚生労働省の国民生活基礎調査によると、老老介護の世帯割合が54.7%に達しました。
ともに75歳以上の世帯は30.2%となり、3割を超えています。
日本では高齢化が進んでおり、老老介護の割合は増加傾向にあるのです。
認認介護とは?
老老介護と同時に、「認認介護」という言葉もよく耳にしますよね。
認認介護とは、老老介護の中でも要介護者同士で介護をし合っている状況を指します。
認認介護が事故が起きやすく、非常に危険な介護状況のひとつです。
老老介護の問題点とは?
老々介護の一番の問題点は、「肉体的負担」です。
おむつ交換や寝返りの介助など、介護には体を動かすことが多く、プロの介護士でさえ腰痛を悩みに抱えています。
要介護者の介護度にもよりますが、高齢になればなるほど体の自由がきかなくなるので、老老介護での肉体的負担をいかに大きいものか想像がつくでしょう。
老々介護では、「精神的負担」も問題視されています。
老老介護でのストレスが、虐待行為に繋がってしまう恐れがあるからです。
「肉体的負担」と「精神的負担」で、介護に限界を感じ、双方共に自立して生活することができない、いわゆる「共倒れ」の状態になることも予想されます。
また、高齢者の強いストレスは認知症を引き起こす原因にもなりかねません。
周りからのサポートが一切ない老老介護は、いずれ認認介護にも陥りやすいのです。
認認介護の問題点とは?
認認介護でよくあることは、認知症の症状によって必要な介護を行ったかどうか介護者にも分からなくなってしまうことです。
認知症では、記憶障害や判断力・認識力の低下などが起きます。
そのため、食事や排せつ・おむつ交換などの必要な介護をしたかどうか思い出せなくなってしまうのです。
また認知症には「食欲の低下」の症状もあり、気づかないうちに低栄養状態に陥ることもあります。
介護で肉体的負担を抱えている中、しっかり食事をとらなければ倒れやすい体になってしまいますよね。
ですので認認介護は、介護者にとっても非常にリスクのあるものなのです。
認知症がひどくなれば、水道光熱費などの支払いを忘れてしまうこともあり、生活環境を維持することができなくなる可能性もあります。
老老介護は認認介護に繋がる前に、解決策を練って行かなければなりませんね…。
老老介護の原因とは?
近年問題視されている老老介護の原因とは一体何なのでしょうか?
老老介護の原因には、主に以下の4つの原因があります。
- 医療の進歩
- 核家族化
- 他人に頼る事への抵抗
- 金銭問題
それぞれ原因を詳しく見ていきましょう。
1.医療の進歩
「医療の進歩」とだけ聞けば、何も悪い影響はないように感じます。
しかし、医療が進歩し日本人の平均寿命は年々伸びたことで、健康寿命との差が広がるようになりました。
健康寿命とは、介護を必要とせず自立して日常生活を送れる年齢的な制限のことです。
もちろん健康寿命が過ぎてしまえば介護が必要になります。
そのため、健康寿命と平均寿命の差は「要介護期間」とも表すことができます。
2010年の厚生労働省の発表によれば、男女ともに平均10年前後の要介護期間があるとされています。
つまり、50代後半の子供が親の介護をしているうちに65歳を超え、そのまま老々介護に突入するという事態が起きるのです。
2.核家族化
近年では、別居する子供世帯の家庭が増え、核家族化が進んでいます。
子供世帯との住まいが近ければいいのですが、仕事などの関係で遠方に住んでいることも多くあります。
その際は、介護が必要になってもなかなか助けを求めることはできませんよね。
そうして、65歳以上の高齢夫婦での老老介護が余儀なくされてしまうのです。
また、高齢者には子供に介護してもらうのを「情けない」と感じ、配偶者に介護を求める人もいます。
3.他人に頼ることへの抵抗感
現代で老老介護を行っている世代は、戦時中や戦後の生活を経験しており、他人に頼ることに抵抗を感じる傾向があります。
自立心があるのは素晴らしいですが、「自分一人で何とかしなくてはいけない!」と、頑張りすぎてしまうのは高齢者にとってはよくありません。
また、他人を家に入れることを嫌がり、在宅介護サービスを利用することを端から考えてない人もいます。
在宅介護となれば入浴や排せつなどデリケートな部分もケアしてもらうので、より抵抗を感じるようですね。
金銭問題
「介護に使うほど金銭的余裕がない」「生活保護を受給している」なども、老老介護の原因となります。
高齢者の収入は、主に年金のみです。
年金をやりくりしながら、要介護者施設に入れるお金を準備するとなると、相当大変なのはよくわかります。
入居金を準備するのにも時間がかかるとなってしまえば、高齢夫婦間などで介護生活を送るしかありませんよね。
また、在宅介護となれば、介護サービス費だけではなく住宅改修費などもかかる場合があります。
通所型の介護サービスを利用するのにもお金が必要です。
「子供に介護費用を負担してもらうのも申し訳ないし…」となると、プロの力を借りずに老老介護するしかなくなってしまいます。
老老介護の解決策を紹介!
老老介護は、肉体的負担も大きいですし、なるべくは高齢者同士だけでは行わず、快適な介護生活を過ごして欲しいですよね。
では、老老介護はどのように解決していけばいいのでしょうか?
具体的な解決策を3つ紹介します。
- 家族に頼ろう!
- 健康寿命を延ばそう!
- 介護サービスを利用しよう!
1.家族に頼ろう!
まずは家族に頼りましょう。
老老介護では多くの問題があることが分かったと思います。
両親が老老介護をしていたら、問題が起きる前に改善しなければいけない状況だということを子供達は理解しましょう。
何か問題が起きてからでは遅いのです。
また、「子供に介護されるのが情けない…」と感じている人も、老々介護によって共倒れしてしまったり、認知症が悪化してしまったりしてからの方が、子供たちの日常生活に大きな影響を与えてしまいます。
家族なんですから、お互いを頼りあって生活していきましょう。
親の介護を担うことになった際には、たった一人で抱え込まず他の兄妹姉妹や配偶者に相談して進めるようにしましょう。
最近では、介護ストレスを感じ限界に達している人も多くいます。
介護疲れが原因で、元気だった子供が倒れてしまっては、せっかく老老介護を解決した意味がなくなってしまいますからね。
少し離れた親戚に事情を話しておくのもいいかもしれません。
近すぎない距離感だからこそ話せることもあるかもしれませんよ。
2.健康寿命を延ばそう!
健康なうちから、要介護状態を予防しておくことも大切です。
介護が必要ない生活が送れば、もはや老老介護の問題も出てきませんからね。
高齢者になったら、より生活習慣を意識して健康寿命を延ばすようにしましょう!
もし介護が必要になっても、初期段階からなるべく体を動かすようにしていれば、寝たきりの状態は防ぐことができるかもしれません。
そうすればリハビリで身体機能を取り戻すこともでき、自立した生活を送れる可能性も出てきますよ。
体を動かすことだけではなく、脳トレをして認知症対策もするようにしましょう。
また、心身ともに少しでも違和感を感じたらすぐに病院へ行くようにしましょう。
高齢になったら、かかりつけの病院を決め主治医を決めておくのもいいかもしれませんね。
定期的に病院へ行くことで、医師だからこそ気づくことや認知症の初期症状が出た時も早めに気づいてもらえるでしょう。
3.介護サービスを利用しよう!
筆者が一番オススメする老老介護の解決策は、介護サービスを利用することです。
「さっき金銭的に利用することができない人もいると紹介したじゃん!」と思われるかもしれませんが、やっぱりプロの介護士に任せるのが一番安心ですよね。
金銭面に不安がある人、安心してください。
近年では介護保険サービスが整っており、自己負担額1割~3割で介護サービスを利用することができます。
その際は、要介護認定の申請をし、要介護度の通知を受け、ケアプランを作成しなければいけないので注意してください。
ケアプランはケアマネージャーと作成します。
ケアマネージャーは、介護保険で適用される限度額を考慮してケアプランを作成してくれるので、金銭面でも安心して介護サービスを受けることができます。
ケアマネージャーとしっかり相談をして、自分に合った介護サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか?
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
老老介護の問題点・解決策については理解していただけたでしょうか?
老老介護は介護する人・される人、双方にとってリスクが高いものです。
老老介護になる前に予防できるのが一番ですが、もしそのような状況になってしまった場合は今回紹介した解決策を参考にしてみてください!
近年では、介護に対する地域のサポートも充実してきています。
介護問題を誰に相談すればいいのか分からないという人は、まずは地域の相談窓口などに行ってみるようにしましょう。
老老介護の問題を解決し、快適な介護生活が送れる事を心より願っています!