近年、人生の最期の場所として、「自宅」を選ぶ人が増えています。
「自宅が過ごしやすいから」という理由だけではなく、在宅医療に対する地域のサポートも進歩していることも、自宅での最期を選ぶ人が増える理由のひとつでもあります。
しかし、実際に自宅での看取り介護を始めるにあたって、どのような準備が必要なのかよく分からないですよね。
「最期の時間ぐらい穏やかに過ごしてほしいし…」と願うご家族は多くいると思います。
そのためには、適切な準備が必要なのです!
そこで今回は、自宅での看取り介護について徹底解説していきたいと思います!
看取り介護について必要な準備や必要なことなども紹介していくので、ぜひ最後まで読んでみてください!
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自宅で最期を迎えたい人が増えている!
そもそも看取りとは、「人生の最期が近い人の側にいてお世話をすること」を表しています。
以前までは、「看病する」という行為を表す言葉でありましたが、近年では人生の最後における看取りという意味から、単に「看取り」と言われることが多いです。
人生の終末期を迎えている人は、医療処置を受ける必要があることが多く、病院で最期を迎える人が多くいました。
しかし、医療の進歩により、人生の最期の迎え方を様々な選択肢から選べるようになりました。
内閣府が行った「平成29年版高齢社会白書」によると、「治る見込みがない病気になった場合、最期 はどこで迎えたいか」という問いに対して、「自宅」と答える人が54.6%と過半数を超える結果を表しています。
近年では、今まで過ごしていた自宅で最期を迎えたいと考える人が多くいるのです。
その気持ちを尊重するために、ご家族の方は本人が穏やかな最期を迎えられるよう援助を行います。
自宅での看取り介護に必要なことは?
穏やかな最期を迎えられるような援助といいますが、具体的にどのようなことを行えばいいのでしょうか?
まず、自宅での看取り介護に必要なことは以下の通りです。
- 本人とご家族ともに「最期を自宅で迎えたい」という気持ち
- 在宅医や訪問看護などの医療体制が整っていること
- ご家族や在宅介護サービスによる介護サポートがあること
- 医療と介護が24時間365日体制で行えること
現在、国では地域での看取り体制を整えていくために、2015年の介護保険法改正で、「在宅医療・介護の連携推進」が制度化されました。
これにより、上記の条件2~4は地域の仕組みによって整えられつつあります。
その中でも最も重要視されているのが、24時間対応の医療チーム整備です。
地域は医師会などと連携しながら、在宅療養支援病院などの設置を進めています。
24時間体制の医療チームに入浴や食事・排せつなどの介護サービスを連携させ、地域の住民が自宅での看取り介護を受けやすい体制を整えています。
自宅での看取り介護の準備
では実際に、自宅での看取り介護を始めるにあたってどのような準備が必要なのでしょうか?
看取り介護にあたって必要な準備は以下の通りです。
- ケアマネージャーに相談する
- 在宅医を見つける
- 看取りチームを編成する
- 過ごしやすい環境を作る
1.ケアマネージャーに相談する
ご本人とご家族が自宅での看取り介護について考え始めたら、準備に取り掛かりましょう。
ここで頼りになるのは、ケアマネージャーです。
ケアマネージャーに看取り介護に関する希望を細かく伝え、助言をしてもらいましょう。
もしケアマネージャーが決まっていない場合は、地域包括支援センターに行き看取り介護について詳しいケアマネージャーを探しているという相談をしましょう。
2.在宅医を見つける
ケアマネージャーを決めたら、次に在宅医を見つけましょう。
ケアマネージャーが決まれば、在宅医をケアマネージャーから紹介してもらえることもあります。
元々かかりつけ医がいる場合は、訪問診療が可能かどうかの確認をしましょう。
可能であるならば、看取りまで対応してくれるかどうか相談をします。
かかりつけ医がいない場合でも安心してください。
地域包括支援センターなどに相談をすれば、市区町村から在宅医を紹介してもらうことができます。
市区町村には「在宅医療相談」や「在宅医療介護連携」などの名称の窓口がありますので、一度問い合わせてみましょう。
3.看取りチームを編成する
ケアマネージャーと在宅医が決まれば、今後の生活についての相談があります。
本人の現在の状態とこれまでの状態、ご家族の介護力などをしっかりと伝え、在宅でどのような療養生活を送っていくべきか在宅医が判断します。
本人の心身状態に応じて、在宅医だけではなく在宅歯科医・歯科衛生士薬剤師・訪問看護師・理学療法士・管理栄養士・介護福祉士などで看取りチームを編成します。
4.過ごしやすい環境を作る
いくら医療体制と介護体制が整っていても、過ごしやすい環境がなければ看取り介護はうまくいきません。
過ごしやすい環境を作るのは、ご家族の役目です。
本人が穏やかに過ごせる環境を作って、看取り介護をサポートしていきましょう。
過ごしやすい環境を作るために何か変化を施す必要があるわけではありません。
大切なのは、できるだけ今までと変わらない環境を維持することです。
孤独を感じさせないように一緒にいてあげたり、本人の好きなものを周りに置いてあげたりしてステキな環境を作ってあげましょう。
また本人が望むのであれば、自宅に友人を呼んで楽しい時間を過ごさせてあげるのもいいでしょう。
自宅での看取り介護には、ご家族の覚悟が必要になります。
環境づくりがご家族の役目だと言いましたが、実際にはそれだけではありません。
介護サービスを利用していない時間は、ご家族が介護をしなくてはいけなく、負担も増えることでしょう。
しかし負担を抱え込みすぎてしまうと、自宅の雰囲気も暗くなってしまい、穏やかな環境ではなくなってしまいます。
ですので、辛いときや何か分からないことがあったときは誰に連絡をすればいいのかは事前に確認しておくようにしましょう。
ご家族ならば、他の人のストレスも感じ取ってしまう時ってありますよね。
ですので、介護者はなるべくストレスを感じないように生活をし、要介護者を不安にさせないようにしましょう。
いつ自宅での看取り介護に切り替えればいいのか?
自宅での看取り介護に切り替えるタイミングも大切ですよね。
本人の希望だけではなく、看取り介護の準備やご家族の受け入れ体制も整っていなければ、看取り介護をスタートすることはできません。
またご家族の方は準備が万全でも、本人の体調変化が激しく自宅に戻ることが危険な可能性も出てきます。
施設や病院の担当医に、体調についてしっかりと相談をして、看取り介護をスタートして良いか確認しましょう。
一般的に自宅での看取り介護のスタートは、医師の判断で決まるということです。
一方で、高齢者の場合は食事ができなくなった時が看取り介護の始まりだという考え方もあります。
しかし、このタイミングで看取り介護のスタートを判断するのはとても難しいです。
人は死期が近づくと、栄養や水分を必要としなくなり、食欲がなくなるのが一般的です。
しかし、ご家族からすると「食事をしないのだから元気が出ない」と思い込み、少しでも食事を喉に通してほしいと思うようになります。
そのような気持ちの相違を考えると、食欲があるうちに看取り介護をはじめた方がいいと言う考え方もあるかもしれません。
その場合は、より家族がサポートしなければいけない時間が長くなるので負担が大きくなってしまうことが懸念されます。
だからといって、食欲がなくなってから看取り介護を始めれば、一緒に過ごす時間が短くなるということです。
そう考えると、看取り介護のスタート時期を決めるのは難しいことだということがわかったと思います。
ご家族だけで自宅に戻るタイミングを判断するのは難しいと思いますので、ケアマネージャーやかかりつけ医としっかりと相談をして決めるようにしましょう。
”最期の日”を迎えたときは…
看取り介護を行うということは、最期の日を共に迎えるということです。
辛いかもしれませんが、その時がきた際にはしっかりと対応できるようにしておきましょう。
どのような順番でどこに電話をすればいいのか、前もって確認しておいてください。
また、思いの外早く話し合いが進むのが葬儀についてです。
事前に葬儀についての準備も行なっておく事をオススメします。
生前に葬儀のことを考えることは辛いかもしれませんが、近年では「終活」も注目され始め、ご本人自ら葬儀などについて考える場合もあります。
看取り介護が始まる前でも構いませんので、聞きやすい時にご本人に葬儀などの希望を聞いておくのもいいかもしれませんね。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
自宅での看取り介護については理解していただけたでしょうか?
人生の最期は自宅で迎えたいという理由は人それぞれかもしれませんが、落ち着く場所で穏やかに過ごしたいと思うのは人間の自然な感情なのかもしれませんね。
そう考えると真っ先に浮かび上がるのは、やっぱり自宅になりますよね。
しかし、自宅での看取りを希望している人が多くても、実際に自宅で亡くなっているケースは1割ほどにしか過ぎません。
そんな現状を変えるべく、地域では在宅医療と在宅介護の連携が整えられつつあります。
自宅での看取り介護を考えている人は、まず地域の看取り介護に対するサポートについて調べてみるようにしましょう!
「最期は自宅で過ごしたい!」という本人の気持ちを尊重したばかりに、制度が整っていないのに、自宅で看取り介護を行うのは果たして幸せなのでしょうか?
地域のサービスなどを考慮して、どこで人生の最期を迎えるのか一番最適なのか、しっかりと考えるようにしましょう!