コラム

親の介護、入院費用が払えないとどうなるの?知っておきたい公的制度と保険の話

入院費 払えない-入院費 コラム

「ある日、突然親が入院した!」どうしたの、何で?とまずは病状が気になることでしょう。

病院で具体的に手続きが始まると、お金の心配もでてきます。

入院に対する不安は、「病状」と「お金」の2つが多いと言われます。

病状については、医師の診断に基づいて最適な治療法と自分の努力によって乗り越えるものですが、入院するような事態は多くの方にとって突然訪れるものなので、お金に対する不安も大きいかもしれません。

保証人や保証金をどうするか、入院費用はどのように工面するかなど、お金に関連する心配ごとは沢山発生します。

今回のコラムは、いざという時に慌てないために、入院費用が高額な時にやるべきこと、知っておきたい公的制度や保険のことを中心にご紹介します。

この記事を書いたライター
入院費が払えない-渋澤和世様渋澤 和世
「在宅介護エキスパート協会」代表。親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得。2人の子どもに恵まれるも、両親が同時期に脳血管障害、認知症、骨折、肺炎で入院を繰り返す。長年にわたり仕事・子育て・介護の「トリプルワーク」を経験。入院費 払えない-親が倒れたら、まず読む本
新聞やウェブビジネスニュース等メディアでの執筆も多数。アイディア発想講師としての知識を生かし、「完璧な介護」ならぬ「自滅せず親も家族も幸せになる介護」へと発想の視点を変え、現代人のための介護思考法を独自に研究。介護する者、支援する者、専門家としての3つの顔と行政、企業、家庭の3つの軸から介護問題を解決する唯一無二の存在。座右の銘は「なんとかなるさ」。
著書「親が倒れたら、まず読む本」(プレジデント社)は家族の入院・介護に取り掛かる方のバイブルとなっている。

※本ページにはPRが含まれます。

入院費用払える?1回の入院で平均的な費用はいくら?

そもそも入院するとどのくらいのお金がかかるものなのでしょうか?

治療費は高額なため、請求書を見て驚くケースも少なくありません。

入院費用の自己負担額の相場は、治療方法や入院日数で変わってきますが平均で約21万円前後と言われており、1割弱の人は50万円以上かかっています(2019年年度公益財団法人生命保険文化センター調べ)。

もう少し具体的には、三大疾病として知られる心疾患(急性心筋梗塞)は1,767,281円、脳卒中では、脳出血2,202,093円、脳梗塞1,651,819円、がんでは、胃がん942,813円、肺がん912,467円となっています。

そして高齢者の転倒で最も起こりやすい大腿骨頸部骨折は2,131,499円が相場です。

ただし、自己負担額はこの1~3割程度となります(公益社団法人全日本病院協会公表の医療費2019年度調べ)。

この数字からも少なくとも数十万円の自己負担金が発生するのがわかります。

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入院費用が払えない場合は、早めに病院や役所に相談する

いつ病気やケガをするか予測することは難しいので、その時の家計状況によっては「入院費が支払えない」という問題に直面する場合があります。

もし本当に支払えなかったらどうなるのでしょうか。

多くの病院では、入院時に保証金を納めてもらう、保証人を立て入院費用を支払ってもらうなどの体制をとっています。

催促されても支払いを放っておくと、保証人に連絡が入るか、弁護士とのやり取りになっていきます。

協議後、民事訴訟などに移行する場合もあります。

保証金や入院費用などを準備できないことが予めわかっているのなら、病院側に対して、入院前に早めに状況を説明してください。

また、市区町村の相談窓口を利用し、自分が入院費を含む医療費の面でどのような援助を受けられるか相談することもできます。

役所に専用窓口が設けられている場合もあれば、個別に面談、電話相談ができる場合もあります。

ポイント:入院費で困ったときは、すぐに病院や、役所に相談する。

できる限り早く相談するということが非常に大切です。

患者が入院するとなった場合に入院費を支払タイミングは、基本的に「入退院時」です。

入院時には保証金、さらに退院時には退院までの治療費、食事費等が全て精算されます。

入院が長引くと月末に請求書が届きますが、そのタイミングで支払えなくても、「退院ができなくなる」ということは基本的にありません。

病院によっては分割払いに対応している、支払いの期限に猶予を設けてくれるところもあります。

クレジットカード支払いに対応している病院も増えています。

一括払いが難しい場合は、分割払いやリボ払いも検討してみてください。

支払えないのがわかっていたのに、後から事情を話すと入院先との関係が悪化することになります。

本人や家族だけでは判断できない場合は、信頼のおける人に相談する、親戚等からお金が借りられるのであれば、それも入院費を賄う一つの方法でしょう。

早めに親族に相談することも検討してください。

医療費の負担軽減のために知っておきたい、さまざまな公的医療制度

入院費 払えない-病院の診察券や領収書など

公的な制度はわかりにくく、知っていないと損してしまうことも多々あります。

医療費の負担を軽減する制度は是非知っておいていただきたいものです。

ここでは高齢者に特に関係する制度をピックアップしています。それでは、詳しくみていきましょう。

①高額療養費制度

月の初めから終わりにかかった費用が、一定額を超えた場合に、超えた金額が戻ってくる制度です。

通常、病気やケガで治療を受けた場合、医療保険証を病院に提示することで1~3割負担ですみますが、積み重ねで高額になった場合に備えて医療費の上限金額を設け負担を抑えるものです。

この制度は、月ごとに医療費の上限が決められており、その上限を超えて支払った分が、基本的に申請してから約3か月後に戻ってくる仕組みです。

この自己負担の上限金額は、所得や年齢によって異なります。

手続きは、病院の窓口で自己負担分をいったん支払い、後日、保険者「健康保険組合、協会けんぽ(全国健康保険協会)、共済組合、国民健康保険など」に申請して払い戻しを受けます。

保険者によっては医療機関から提出された診療報酬明細書をもとに自動的に払い戻しされ、申請が不要なところもありますので、保険者に確認してみてください。

※基本的な必要書類:領収証、保険証、印鑑、振込口座

この制度は、公的医療保険が適用される医療費が対象です。

食費、居住費、差額ベッド代、先進医療にかかる費用等は対象とならず、全額自己負担になります。

②限度額適用認定証

高額療養費制度は、医療費をいったん支払い、上限金額を超えて支払った医療費が後日戻ってくるものでしたが、後で戻るとはいえ一時的でも大金を負うのは精神的に良くありません。

限度額適用認定証を取得しておくと、これを病院に提示することで、窓口では自己負担上限金額までの支払いで済みま

超過分を支払わなくてよいため、医療費の窓口負担が少なくなります。

入院に限らず、日ごろから病院に頻繁にかかるのであれば、取得をお勧めします。

申請は加入している保険者に「限度額適用認定証」の交付を申請すると、後日、送付されます。

これを医療機関に提示してください。

③高額療養貸付制度

窓口負担を減らすには、限度額認定証を使うのがベストですが、急な場合は対応できないので貸付制度も検討しましょう。

高額療養費の払い戻しとなる金額の8~9割相当の金額を、無利子で貸し付けてくれる制度です。

貸付制度を利用できるのは、各医療保険に加入している人です。

高齢者の加入が多い国民健康保険の場合は、この制度を利用することに関し病院の承諾を得てから、保険証を持参し住所地の役所に出向き申請書類をもらってください。

次に病院に申請書に必要事項の記載を依頼しましょう。

再度、役所に保険証、貸付申請書類、領収証、印鑑を持参すれば手続きは完了です。

④高額療養費受領委任払い

高額療養費貸付制度を利用しても、支払いが難しい場合に利用したい制度が高額療養費受領委任払いです。

この制度は、高額療養費として戻ってくるお金が、保険者から直接医療機関に支払われる制度です。

またこの制度は、保険者と医療機関が協定を締結していないと利用できません。

まずは病院に高額療養費受領委任払いを利用したいことを相談してみましょう。

⑤生活保護制度

収入が極端に少ない場合、最低限の生活ができるように金銭的サポートで自立を助長する制度です。

入院などの医療費は「医療扶助」となり、その費用は直接病院に支払われ、窓口での自己負担はありません。

所持金が少なく入院費が支払えないという状況のときには、すぐに病院の医療ソーシャルワーカーに相談をしてください。

生活保護制度の申請日から医療扶助の対象になりますので、申請が遅れしまった場合、その間は自己負担になりますので注意してください。

⑥医療費控除

医療費控除は、本人や家族(同一世帯)の人が、病気やケガで医療費が一定額を超えた時、税金が安くなる制度です。

入院費用自体を安くできるわけではありませんが、年間の医療費が多くかかったとき、間接的に入院費用の負担を減らすことにつながります。

医療費控除の対象となる金額は、以下のように計算できます。

医療費控除額(上限200万円)=医療費(保険金で補填された額を除く)-10万円

※総所得が200万円以下の人は、10万円ではなく総所得の5%が控除されます。

保険金で補填される額として差し引くのは、生命保険の入院給付金のほか、健康保険で支払われる高額療養費などが含まれます。

入院費用を抑えたいときに知っておきたいテクニック

大前提は病気やケガの治療なので、積極的な活用は難しいことも想定されますが、知っておいて損はない情報なのでご紹介しておきます。

①高額療養費制度のフル活用

高額療養費は月の初めから終わりにかかった費用が、一定額を超えた場合に、超えた金額が戻ってくる制度というお話をしました。

入院や手術日が1日、月をまたいでしまうだけでも高額療養費の計算上は不利となってしまいます。

入院日、手術日、退院日が調節可能であるならば、1月の中で入退院を済ませてしまうと医療費を節約できます。

②個室を拒み大部屋にする

個室や4人部屋くらいまでの少人数の部屋へ入院すると、差額ベッド代が発生します。

保険診療の対象外なので、公的医療保険が利用できず全額自己負担となります。

大部屋が空いていない病院で緊急入院することになり、差額ベッド代がかかる部屋を契約してしまったが差額ベッド代が支払えないという状況になってしまうことがあります。

入院するときは「大部屋希望」「差額ベッド代の金銭的余裕がないこと」を伝えるのは大切ですが、差額ベッド代がかからない4つのケースがあることも知っておきましょう。

  • 同意書にサインをしていないとき
  • 病状が重篤で個室室に入室することが適切だと医師が判断したとき
  • 感染の恐れがあり個室に入室することが適切だと医師が判断したとき
  • 個室しか空きがないなど病院都合の場合

現実的には個室しか空きがないなど病院都合の場合であっても差額ベッドに同意しないと入院拒否されることもあります。

緊急時は大部屋が空いたら早く移動させてもらうことを希望し、同意するケースが多くあります。

親の加入している生命保険を把握しているか

親が民間会社の医療保険や共済に加入している場合、入院日額や一時金など給付金の請求ができる場合があります。

しかし、親が保険の存在を忘れている、子も知らないとになると契約した保険が活用できず、損をしてしまいます。

医療保険の保険金・給付金は本人が請求をしなければ手元にきません。

給付金の請求にも時効があり、一般的には3年です。

治療や入院は大きなお金が必要です。

親が元気なうちに加入している保険の内容を確認しておきましょう。

医療保険の請求と指定代理請求特約

医療保険請求は申告から手続きが始まります。

医師の診断書も必要で請求の時期は退院後がスムーズです。

ただし入院が長期になると月末ごとに医療費請求くるので入院中でも請求して給付金を受け取りたい場合もあります。

本来、被保険者である親本人が手続きを進める必要がありますが、症状によっては難しい場合もでてきます。

保険には「指定代理請求特約」という制度があり、これは予め指定代理人を定めておけばその代理人が請求できるというものです。

この特約はいつでも付けることができる場合が多いので、付いていない場合は保険会社に確認をしてください。

これも親本人が連絡を取る必要があるため、早めの確認をお勧めします。

保険請求書にサインができれば代理申請もOK

最後に私のエピソードです。

亡き母はかんぽ生命の入院特約に入っていました。

肺炎で入退院を繰り返しましたが、入院日数が30日以内であれば医師の診断書は必要なく入院が証明できる医療機関の領収証で請求が可能です。

字のうまい下手は問わず、親が自署で名前が書ければ子が窓口で手続きができます。

母の契約は120日まで同じ病名での保険がおり、別の病名であれば、また120日まで保険金がおりるというものでした。

契約や保険会社によって異なるので請求の前に診断書の有無、限度日数も確認すると良いでしょう。

入院する際は病気やケガにしっかり向き合うのが1番です。

お金の心配をするのはあまりよくありません。

ぜひこの記事を参考に、入院費用の不安を解消してください。

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