居宅療養管理指導とは、要支援以上の認定がされた方の自宅を医師などが訪問し、健康管理を行ってくれるサービスのことです。
医師などが訪問し、療養上の指導やアドバイスを行ってくれることで、自宅でも安心して生活を送ることができます。
近年では、通院等が困難な身体状況になっても住み慣れた自宅で暮らしたいと考える高齢者の方が増えているので、人気を集めているサービスのひとつでもあります。
そこで今回は、そんな居宅療養管理指導について詳しく解説していきたいと思います!
サービス内容や費用、メリット・デメリットなども説明していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
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居宅療養管理指導とは?
居宅療養管理指導とは、医師や看護師などの医療スタッフが利用者の自宅を訪問し、健康管理における指導やアドバイスを行うサービスのことです。
要支援や要介護と認定され、通院することが困難な方を対象としています。
寝たきりで通院できなかったり、認知症で病院の待ち時間が不安だったりする方が多く利用しているサービスです。
対象は「要支援から」となっていますが、要支援の方が利用すると介護予防居宅療養管理指導となります。
往診・訪問診療との違いとは?
医療スタッフが自宅を訪問してくれるとなると、往診や訪問診療とさほど変わらないサービスなように感じますよね。
しかし、実際には大きな違いがあり、それは「医療行為があるかないか」という点です。
居宅療養管理指導とは、あくまでも健康でいるためのアドバイスや指導を行っています。
一方で往診や訪問診療は、医師の指示のもと適切な医療ケアが提供されます。
投薬や検査、疾病の治療指導まで、自宅での対応が可能となっているでしょう。
また、適用される保険も違い、居宅療養管理指導では介護保険、往診・訪問診療では医療保険が適用されます。
指導する専門職によって居宅療養管理指導のサービス内容は変わる!
居宅療養管理指導ですが、利用者の自宅を訪問してくれる専門職の方によってサービス内容は異なってきます。
専門職別のサービス内容を確認していきましょう。
- 医師・歯科医師
- 薬剤師
- 管理栄養士
- 歯科衛生士
- 看護師・保健師
医師・歯科医師の場合
医師や歯科医師が訪問してくれる場合、提供してくれるサービスは以下の通りです。
- 診断に基づく健康管理や指導・アドバイス
- 薬の服用方法や副作用の指導
- 医療器具の管理
- ケアプランに必要な情報の提供
継続的な健康管理をしてくれますが、医師の訪問は月に2回までと決まっています。
薬剤師の場合
薬剤師が自宅を訪問する場合、提供してくれるサービスは以下の通りです。
- 医師から処方されている薬の管理方法
- 服薬指導・アドバイス
- 副作用の説明
訪問回数は、薬剤師の勤務形態によって変わっていきます。
病院・診療所勤務は月2回まで、薬局勤務は月4回までとなっています。
管理栄養士の場合
管理栄養士が自宅を訪問する場合、提供してくれるサービスは以下の通りです。
- 栄養バランスを整えるための「栄養ケア計画」の作成
- 身体状況に合わせた献立や調理方法の指導・アドバイス
管理栄養士は月に2回までの訪問が可能です。
歯科衛生士の場合
歯科衛生士が自宅を訪問する場合、提供してくれるサービスは以下の通りです。
- 正しい歯磨きの仕方
- 入れ歯など、義歯の手入れ方法
- 嚥下機能の維持・回復のためのアドバイス
歯科衛生士は月に4回まで訪問することができます。
看護師・保健師の場合
看護師や保健師が自宅に訪問する場合、提供してくれるサービスは以下の通りです。
- 療養・介護に関するアドバイス・相談
看護師や保健師に訪問を頼める回数は他と違って少なく、サービスの利用開始から6ヶ月間で2回となっています。
居宅療養管理指導のメリット
居宅療養管理指導を利用することによって生まれるメリットは、主に以下の3つです。
- 体力面・金銭面の負担が軽減される
- ご家族の負担・不安が軽減される
- 専門職による見守りが増える
それぞれ詳しくみていきましょう!
1.体力面・金銭面の負担が軽減される
本人の負担が軽減されるというのは、最大のメリットでもありますよね。
通院が困難な方でも、自宅にいながら健康管理や指導・アドバイスを受けることができるので安心です。
また、タクシーやバスなど公共交通機関を利用すれば通院できるといった高齢者の方もいるかもしれませんが、継続的な通院だと交通費もかなりかかってしまいますよね。
本人の体力的な負担だけでなく、金銭的な負担も軽減できることはメリットといえるでしょう。
2.ご家族の負担・不安が軽減される
居宅療養管理指導は、利用者本人だけでなく、そのご家族の負担も軽減されます。
今までの通院の際、毎回付き添ってあげていたご家族の方もいるでしょう。
病院の付き添いはただ送迎するだけでなく、車の乗降を介助したり病院内でも歩行を介助したりと体力的にも負担のかかるものだったと思います。
また、自家用車がない場合は付き添いの方も公共交通機関を利用することとなるので、倍の費用がかかっていたでしょう。
しかし、居宅療養管理指導を利用することで、それらのご家族の負担も軽減されます。
居宅療養管理指導は、ご家族にもメリットがあるということですね。
3.専門職による見守りが増える
居宅療養管理指導を利用することで、自宅での療養をサポートしてくれる人材が増えます。
要介護認定を受けた後に、自宅で療養するとなったら基本的にはケアマネージャーとホームヘルパーが中心となって支えてくれていました。
しかし、実際に最期まで自宅で暮らすとなったら、医師や看護師などの専門職の方と連携をしていないと厳しいときがあるでしょう。
安心・安全の自宅での暮らしを望むなら、さまざまな職種の方と連携をとっておくことが大切ということです。
居宅療養管理指導は、専門職同士がしっかりと連携してくれているので継続的な自宅での暮らしを実現できるのではないでしょうか。
居宅療養管理指導のデメリット
メリットだけをみればとても魅力的なサービスに思えますが、少なからずデメリットも発生してしまいます。
居宅療養管理指導のデメリットとは、自分の意志だけではサービスを利用できないということです。
基本的に介護サービスというのは、要介護が認定されれば誰でも受けることができます。
しかし、居宅療養管理指導は医師や歯科医師の指示のもと提供されるサービスです。
そのため、利用開始の判断は医師がくだすということになります。
ご本人やご家族が利用したいと考えていても、医師から必要ないと判断されれば利用できないので、注意しておきましょう。
居宅療養管理指導でかかる費用はどれくらい?
居宅療養管理指導でかかる費用は、自宅を訪問してくれる専門職によって費用が異なります。
また、同一建物内で他に居宅療養管理指導を利用している方がいるかどうかでも異なってくるのです。
居宅療養管理指導を利用するときに、利用者がどの条件に当てはまるのかを確認して事前に費用を確認しておきましょう。
サービスを提供する専門職 | 同一建物居住者 | 費用 |
---|---|---|
医師 | 1人 | 509円 |
2人∼9人 | 485円 | |
10人以上 | 444円 | |
歯科医師 | 1人 | 509円 |
2人∼9人 | 485円 | |
10人以上 | 444円 | |
薬剤師(病院・診療所勤務) | 1人 | 560円 |
2人∼9人 | 415円 | |
10人以上 | 379円 | |
薬剤師(薬局勤務) | 1人 | 509円 |
2人∼9人 | 377円 | |
10人以上 | 345円 | |
管理栄養士 | 1人 | 539円 |
2人∼9人 | 485円 | |
10人以上 | 444円 | |
歯科衛生士 | 1人 | 356円 |
2人∼9人 | 324円 | |
10人以上 | 296円 |
※1割負担の場合
※1単位10円の場合
居宅療養管理指導を利用するまでの流れ
では、居宅療養管理指導を利用したいとなったらどのようにすればいいのでしょうか?
居宅療養管理指導の利用までの流れは以下の通りです。
- 担当のケアマネージャーに相談
- ケアマネージャーが医師に連絡し、事業所と契約
- サービスの利用を開始
大きく分けて、利用までの手順は3つしかありません。
言ってしまえば、ご本人やご家族がなにか難しい手続きをする必要がなく、ケアマネージャーに任せるだけでサービスの利用開始まで進んでしまいます。
いきなり医師に相談するケースもありますが、利用の際は他の介護サービスとの兼ね合いもでてくるので、結局はケアマネージャーに相談することになるでしょう。
それなら、最初からケアマネージャーに相談して手続きなどもやってもらった方が、ご家族としても負担が少なくなるのでいいのではないでしょうか。
居宅療養管理指導の事業者選びのポイント
ケアマネージャーに手続きしてもらっても、最終的な決定権は本人やそのご家族にあります。
もし契約を結ぶ前に事業者の方と話せる機会があったら、以下のポイントに注意して信頼できる事業者かどうか見極めるようにしましょう。
- 具体的な説明があるかどうか
- 緊急時の対応はどうか
1.具体的な説明があるかどうか
居宅療養管理指導の大枠だけでなく、サービス内容や費用について、詳細に説明してくれるかどうかしっかり確認しましょう。
説明を受けた際は、少しでも気になることは質問をしてください。
疑問をすべて解消することももちろん大切ですが、質問に対して丁寧に受け答えしてくれるかどうかも確認しましょう。
サービスを利用し始めたら、少なからず連携をとっていくことになるので、こちらの悩みや質問に対してどれだけ親身に対応してくれるかというのは今後大切になってきます。
説明してくれたスタッフさんの人柄なども、観察しておくといいかもしれませんね。
2.緊急時の対応はどうか
緊急時の対応はしっかり確認しておきましょう。
事故発生時やクレームの対応など、事業者側が隠したくなるような内容でもしっかり説明してくれる事業者は信頼ができます。
クレームの話を包み隠さずしてくれるというのは、しっかりそのクレームに対して改善策がなされているということです。
発生してしまったクレームに素早く改善策を出せるというのは、サービスの向上を常に考えていることになるので、質の高いサービスが期待できます。
事故などの緊急事態はいきなり起こるので、その際に「こんな対応じゃ困る!」とトラブルにならないためにも、いざというときの対応を事前に確認しておくことが大切でしょう。
居宅療養管理指導のまとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
居宅療養管理指導については理解していただけたでしょうか?
専門職からの指導やアドバイスを個別に受けることができるので、自宅療養中の健康管理には最適なサービスということがわかりましたね。
居宅療養管理指導の利用を検討している方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください!
住み慣れた自宅で少しでも快適に、そして健康に過ごせることを心より祈っています!