祖父母や高齢の親と話すとき、「え?」と聞き返された経験はありませんか?
耳の機能というのも、歳を重ねるごとに低下していき、難聴を引き起こすのです。
この加齢によって起きる難聴を、「老人性難聴」といいます。
「高齢になると耳が遠くなるのは仕方ない」と、特に気に留めていない方が多いと思います。
しかし、老人性難聴とは認知症を引き起こす可能性もあり、周りの人のコミュニケーションによってはとても危険な状態なのです。
そのため、周りの高齢者が老人性難聴になったら、正しい方法でコミュニケーションをとってあげることが大切になってくるでしょう。
そのためにはまず、老人性難聴について理解しておくことが必要です。
そこで今回は、老人性難聴の特徴について詳しく解説していきたいと思います!
老人性難聴の進行を遅らせる方法やコミュニケーションの取り方についても説明していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
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老人性難聴の特徴とは?
老人性難聴というのは、ある日を境に急に耳が聞こえなくなるというわけではなく、徐々に聴力が低下していきます。
高い音域から聞こえなくなっていき、中・低音域の聞こえは保たれています。
しかし、老人性難聴が進行していくにつれて、普段会話している音域や低音域まで聞き取りにくくなっていくのです。
どっちか片方の耳だけ聞こえが悪くなっていくのではなく、両耳の聴力が同時進行で低下していきます。
また、「誰かが話している」といった音自体は聞き取れても、何を話しているのかハッキリとした言葉は聞き取ることができなくなります。
これは、言葉の聞き取り能力が低下してしまうことも原因です。
人によっては、キーンやジーといった耳鳴りの症状を訴えることもあります。
耳鳴りの程度によっては、不快感や不眠などを伴うこともあるでしょう。
- 高音の聞こえが悪くなる
- 徐々に進行していく
- 両耳の聴力が同時に低下する
- 言葉がハッキリと聞き取れない
- 男性の方が聴力が低下しやすい
老人性難聴の原因とは?
老人性難聴の主な原因は、加齢です。
耳は、外側から外耳・中耳・内耳となっており、内耳の蝸牛といった部分には「有毛細胞」があります。
この有毛細胞というのは、いわば「音を感じ取るセンサー」のようなものです。
年齢を重ねるとともに、有毛細胞の毛が折れたり、細胞自体が剥がれ落ちたりして、細胞の数が減っていきます。
これに加え、脳への経路に起こる障害・蝸牛の血管の障害・聴神経の機能低下・脳の機能低下など、耳の障害だけでなくさまざまな原因が重なって老人性難聴は発症するのです。
老人性難聴はいつ頃から発症するの?
老人性難聴は、何歳から現れるとハッキリ決まっているわけではありません。
身体のことなので、個人差があるのは当たり前のことですよね。
一般的には、30代から聴力は変化しますが、聴力の低下が明らかに現れるのは60代頃からです。
そして、70歳を過ぎると約半数の方が老人性難聴になります。
前述したように、男性の方が老人性難聴になりやすく、65歳を過ぎた頃から男性は難聴が始まっているのです。
老人性難聴の進行を遅らせる3つの方法
老人性難聴は加齢が原因のため、治すことはできません。
老化現象の一種なので、完治させる薬や治療は開発されていないのです。
しかし、老人性難聴の進行を遅らせることはできます。
以下の3つの方法が大切です。
- ストレスをためない
- 耳の血流をよくする
- 大きな音を避ける
1.ストレスを溜めない
過度なストレスというのは、老人性難聴の原因になるといわれています。
日常生活の中でストレスを感じないように、趣味や好きなことに没頭する時間を作りましょう。
また、適度な運動もストレス発散となります。
しかし、いきなり無理して身体を動かしてしまったら肉体的にも精神的にも負担になってしまいます。
無理のない範囲で、継続できる運動を取り入れるといいでしょう。
2.耳の血流をよくする
耳の血流が悪くなると、聴覚器官や脳への伝達がうまく行われなくなってしまいます。
血液の循環をよくすることが、老人性難聴の進行を遅らせることに繋がるのです。
血流をよくするには、栄養バランスの取れた食事や適度な運動を取り入れることが大切です。
主に、ビタミンBやビタミンEが老人性難聴の予防にいいとされています。
肉・豆・魚・レバー・海苔・しじみ・植物油・アーモンドなどに上記のビタミンは多く含まれているでしょう。
また、喫煙や飲酒も血流に影響を及ぼします。
一般的な健康維持と同じなので、健康を意識して生活するといいかもしれませんね。
3.大きな音を避ける
大きな音や騒音を日常的に感じていると、老人性難聴が進行する可能性が高いと言われています。
日常的な騒音とは、工事現場や電車の音などでしょう。
工事現場で働いてる方は、他の方よりも老人性難聴の進行が早いです。
線路や高速道路、幹線道路などの近くに住んでいる方も、常時騒音にさらされている可能性が高いので、一度生活環境を見直してみるといいかもしれません。
引っ越しまでしなくても、窓を防音ガラスにしたり、防音カバーを取り付けたりするだけでも、騒音レベルは変わってくるでしょう。
日常生活で感じている騒音だと、知らず知らずのうちに慣れてしまっていることが多いので、一度騒音レベルを確認してみることをオススメします。
また、最近はヘッドホンやイヤホンで日常的に音楽を聴く方が増えてきています。
そのため、老人性難聴の低年齢化も危惧されているのです。
老人性難聴は認知症になる可能性も?
2015年に厚生労働省から発表された「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」では、老人性難聴は認知症を引き起こす要因があるといわれています。
老人性難聴によって聞こえが悪くなることで、日常生活では以下のような支障がでてきます。
- 病院や銀行などで名前を呼ばれても気付かない
- クラクションや車の音に気付けない
- 玄関のチャイムに気付かない
- 携帯電話の着信音に気付かない
- 聞き返しや聞き間違いが増えて人間関係が悪化する可能性
日常生活を過ごすにあたって、このような障害が現れ始めます。
音というのはなにかしらの合図になることが多く、その合図に気付けないとなると身体的な危険や不便なことが増えていくのです。
また、会話のテンポがどうしても悪くなってしまうのでコミュニケーションが円滑に進まず、人間関係が悪くなってしまう可能性があります。
「自分の耳が聞こえないせいだ…」と落ち込んでしまい、家族や社会から孤立したり、抑うつ状態になってしまったりする人もいるのです。
したがって、認知症を引き起こしやすくなってしまうということですね。
老人性難聴に補聴器は効果があるの?
老人性難聴でも、補聴器を使うことで聞こえやすさという点には効果があります。
耳が遠くなってしまったことで、日常生活に不安を感じている人は、補聴器をつけてみるのもいいかもしれません。
しかし、補聴器をつけたからといって、若いときと同じくらい聞こえるようになるわけではありません。
老人性難聴は、加齢による脳の機能低下も影響しています。
さすがに補聴器で脳の機能を向上させることは難しいので、補聴器で拾える音を大きくすることはできますが、若い人の効果に比べるとどうしても差はでてきてしまうのです。
老人性難聴の方と良好なコミュニケーションをとる6つの方法!
老人性難聴になると、ご本人が不安を感じるだけでなく、周りの人もコミュニケーションに困ってしまう場面が増えますよね。
聞こえがよかったときと同じように会話をすることが難しくなってしまいます。
しかし、相手が老人性難聴であることをしっかり理解して接してあげないと、相手を苦しませてしまうことにも繋がりかねません。
老人性難聴の方に対しては、以下の6つの方法を意識してコミュニケーションをとるようにしましょう。
- なるべく静かな環境で話す
- お互いの顔が見える位置で話す
- 声の大きさは普通で、ハッキリと話す
- 話す内容は簡潔にする
- 何度か聞き返されたら、言い方や表現方法を変える
- 話しかける前に、肩を叩くなどして注意を向ける
まとめ∼老人性難聴の特徴∼
最後まで読んでいただきありがとうございます。
老人性難聴については理解していただけたでしょうか?
高齢になれば誰しもがなりえる老人性難聴ですが、認知症などを引き起こしてしまう危険因子になりかねません。
老人性難聴によって少しでも日常生活に支障が出始めたら、進行を遅らせることをオススメします。
その際は、ぜひ今回の記事で紹介した方法を参考にしてみてくださいね!
みなさんがいつまでも周りの人と楽しくコミュニケーションが取れるよう、心より祈っています!