『在宅介護をするのであれば、介護リフォームをしたほうが良いと聞いたのですが、具体的にどんなことをすればいいのでしょうか?』
『リフォームをするためには、どれくらいの費用が掛かるのですか?』
在宅介護をしていて、介護のためにリフォームをしようとしている方はこのような悩みを抱えていることが多いです。
確かに、介護用リフォームは何をしていいのかわかりにくいですよね。
今回の記事では、これらの悩みに沿って解説します。
これから在宅介護をする予定の方や、現在在宅介護をしていて介護リフォームを必要と感じている方はぜひ参考にしてください!
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介護リフォームとは
『そもそも介護リフォームってどんなことをするの?』という疑問を持つ方もいると思うので、介護リフォームについての解説をします。
介護リフォームとは、要支援・要介護者が住み慣れている家で安心して暮らすために、ケガをしやすい場所をなくすために行われる改修工事です。
要支援・要介護者だけでなく、在宅介護を行う側のこともしっかりと考えてリフォームを行うことになります。
例えば、トイレや入浴の介助を行う時には、介護する方も一緒にトイレや入浴場に入る必要がありますよね。
そのため、介護できるだけのスペースを確保したり、手すりを用意したりして介護する側の方の負担も軽減できるようにリフォームを行います。
何よりも、要支援・要介護者と介護をする方が安全に生活できるような家にするのが、介護リフォームを行う理由です。
介護リフォームをするべき場所
次は、介護リフォームをするべき場所についての解説をします。
以下の4点が介護リフォームをするべきポイントです。
- トイレの介護リフォーム
- お風呂の介護リフォーム
- 玄関の介護リフォーム
- 階段・廊下の介護リフォーム
一つずつ解説しますね。
トイレの介護リフォーム
まずは、トイレのリフォームはすることになるでしょう。
トイレのリフォームで注目して欲しい点は、
- 出入りがしやすい
- トイレ内である程度自由に動ける
- 手すりにつかまることができる
これらのポイントを意識してリフォームしてもらうことになるでしょう。
出入りがしやすい
排せつは生理現象なので、一日に何度も行うことになります。
年を取ってくると、急な尿意や便意を感じることがあるので、出入りがスムーズに行えないと漏らしてしまうということもありえるのです。
このような状況にならないためにも、トイレのドアが開閉しやすく、段差がないようなトイレを目指すべきですね。
また、要支援・要介護者が1人で用を足せなくなってしまったときには、排せつの介護をしなければなりません。
トイレは基本的に一人でしか入れないようになっているので、出入り口も小さいことが普通です。
なので、将来のことを考えてトイレの出入りを広くすることも大切です。
トイレ内である程度自由に動ける
ここで言う『動きやすい』というのは、歩き回ることができるということを指しているわけではありません。
便座までの動作をスムーズに行えるように配慮できているかどうかがポイントです。
例えば、体の向きをほとんど変えることなく用を足せるような設計がされていることです。
介護する側も、介護される側も無理なく動くことができるスペースを確保できるといいですね!
手すりにつかまることができる
用を足すときには、必ず便座に座らなければなりませんね。
要支援・要介護者は足腰が弱ってきてしまい、最終的には寝たきり状態になってしまうので、1人で立ち上がることが難しいと感じる方も少なくありません。
なので、手すりを用意してあげることで、手と足の両方の力を利用して立ち上がることができるので、安全です。
無理に立とうとして、トイレ内で転んでしまいケガをしてしまうといったこともあるので、気を付けましょう。
また、手すりがあることで介護する側の方も体への負担を軽減することができるのでおすすめです。
お風呂の介護リフォーム
次にリフォームするべきポイントとしては、お風呂です。
お風呂は滑りやすいので転んでケガをしやすい場所なので、なるべく転んでしまわないような介護リフォームをする必要があります。
お風呂場をリフォームする際に確認するべきポイントは、
- 出入口が広い
- 滑りにくい加工
- 浴槽への出入りがしやすい
これら一つずつ解説します。
出入口が広い・段差がない
要支援・要介護者が1人でお風呂に入ることは、家族にとっては不安なことも多いでしょう。
何分かに一度問題がないか確認することになると思いますが、万が一のぼせてしまっていたり溺れてしまっていたりした時に、出入口が狭いと救出するのにも手間がかかってしまいます。
また、段差があると濡れていなかったとしても転んでしまう可能性があります。
お風呂を利用するときには、全裸になっていることがほとんどだと思いますので、服を着ている時に転ぶのとは大違いです。
より一層注意する必要がありますね。
滑りにくい加工
お風呂場は、水で濡れているので歩いているだけでも転んでしまう可能性があります。
濡れても転ばないように加工すれば、転ぶ可能性を下げることができるので、必ず滑り止め加工をしましょう。
浴槽への出入りがしやすい
浴槽を利用するのであれば、浴槽への出入りがしやすいことはとても重要です。
通常浴槽に入るためには、浴槽の壁を跨ぐ必要がありますね。
ただ、足を大きく上げなければならないので転んでしまう可能性がとても高いです。
なので、浴槽の壁を低くしてなるべく事故に繋がらないような設計にしましょう。
ただ、ご家族の方も浴槽を利用するときに満足に入浴できなくなってしまうという問題点もあります。
なので、要支援・要介護者を入浴させない・要支援・要介護者が入浴するときには必ず手伝うなどして解決する方法もあります。
どちらの方法を取るか、ご家族で話し合うといいでしょう。
玄関の介護リフォーム
玄関のバリアフリー化も重要な部分の一部です。
というのも、外出する際には必ず靴を履かなければならないので、その時にバランスを崩しやすいのです。
その結果として、出掛けること自体に恐怖心を覚えてしまい、外に出掛けなくなってしまうような事例もあります。
なので、転ばないようなリフォームをするべきだと言えますね。
玄関のリフォームで注目するべきポイントは、
- 簡単に出入りができる
- 靴を履く、靴を脱ぐ行為が楽にできる
- 車イスでも通れる
- 濡れていても転ばない
です。
これら一つずつ解説します。
簡単に出入りができる
簡単に出入りできるという点が最も重要でしょう。
日本の玄関様式は、三和土と框の段差があります。
これらの段差は、要支援・要介護者にとってはかなり危険なものなので、できるだけ排除するべきでしょう。
車いすを使用するのであれば、スロープを設置するとスムーズになりますね。
靴を履く、靴を脱ぐ行為が楽にできる
要支援・要介護者でなくても、高齢者になってくると、足腰の筋肉が弱まってきます。
そのため、靴を履く、脱ぐときに体のバランスを崩してしまい、転んでしまうという事故が起きてしまいます。
なので、靴を履く、脱ぐために座れるイスを用意できるといいですね。
また、座ってしまうと立ち上がるときにも足腰に負担が掛かってしまうので、玄関にも手すりを用意できれば完璧です。
車イスでも通れる
先ほども紹介しましたが、玄関にスロープを設置できるとベストです。
スロープを設置することで、デイサービスを利用したときの送迎も簡単に行うことができるでしょう。
濡れていても転ばない
雨の日に外に出なければいけない時には、濡れていて危険です。
なので、お風呂場と同じように滑り止め加工をしてもらうと安心ですね。
玄関は下駄箱やドアなど、ぶつかると危険なものが多い為、転ばないように最大限の配慮をしなければなりませんね。
階段・廊下の介護リフォーム
階段と廊下は似たような介護リフォームをすればいいのでまとめて紹介します。
歩き回ることができる方であれば、廊下は一番使いことの多い場所です。
トイレに行くときも、入浴をするときにも廊下は通らなければなりませんね。
あまり注目されないことも多いですが、廊下は必ず介護リフォームをしなければならない場所です。
階段と廊下でリフォームするべきポイントは、
- つかまるところがある
- 段差が急になっていない
- 滑りにくい加工がされている
一つずつ解説します。
つかまるところがある
まずは、階段でも廊下でも言えることですが、手すりは必ず用意しましょう。
先ほどから言っていますが、高齢者になってくると足腰の筋肉が弱くなってきます。
そうなると、階段一段も満足に上がれなくなってしまう可能性があるのです。
そうなったときに、手すりを用意しておけば腕の力も利用して上ることができますね。
段差が急になっていない
急すぎる階段だと、上るときにも下がるときにも足腰に大きな負担が掛かってしまいます。
手すりを用意したとしても、恐怖心が勝ってしまうこともあるので、できるだけ段差を緩やかに設計することをおすすめします。
とは言っても、階段を工事することができないという方もいると思います。
そのような場合には、仕方なく階段を使わないような生活をしてもらうことになるでしょう。
滑りにくい加工がされている
こちらも廊下と階段の両方に言えることですが、転ばないような工夫が必要です。
ツルツルしていると転びやすくなるので、こちらにも滑りにくい加工をしてもらいましょう。
介護リフォームで使える補助金制度
実は、介護リフォームをするときには上限20万円までの工事にたいして補助金を受けることができます。
また、要支援・要介護の度合いによってもらえる金額が変わるわけではないので、要支援・要介護者ともに同等のリフォーム工事を受けることができます。
ただし、介護リフォームの補助金をもらうためにはいくつかの条件があります。
- 利用者が、要支援・要介護と認定されている
- リフォームする住宅と利用者の住所が一致していて、実際に住んでいる
- 利用者が介護保険サービスを利用していて自宅にいない・病院に入院中でない
これらが条件です。
簡単に言ってしまえば、リフォームする住宅に要支援・要介護の利用者が住んでいればOKです。
介護リフォームに掛かる費用
実際に介護リフォームをするとなれば、どのくらいの費用が掛かるのか知っておきたいですよね。
実際にどのくらいの費用が掛かるのか確認してみましょう。
トイレ | |
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変更内容 | 費用 |
和式から様式に変更 | 18万円以上 |
手すりの設置 | 5~10万円 |
段差の解消 | 2千円~10万円 |
スペース拡張 | 10~30万円 |
補高便座設置 | 2万円以上 |
昇降式便座に変更 | 10万円以上 |
お風呂 | |
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変更内容 | 費用 |
浴槽拡張 | 40万円程度 |
段差解消 | 2千円~10万円 |
手すりの設置 | 5~10万円 |
入浴代の設置 | 3万円程度 |
バスリフトの設置 | 30万円程度 |
玄関 | |
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変更内容 | 費用 |
段差を低くする | 3万円程度 |
スロープの設置 | 20万円以上 |
手すりの設置 | 3万円程度 |
玄関イスの設置 | 3万円程度 |
昇降機の設置 | 20万円程度 |
階段・廊下 | |
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変更内容 | 費用 |
手すりの設置 | 10万円以上 |
段差を緩やかにする | 30万円以上 |
昇降機の設置 | 50万円以上 |
介護リフォームをする流れ
次は介護リフォームをするときの流れについて紹介します。
- 要支援・要介護と認定される
- ケアマネージャーと相談
- リフォーム業者と契約をする
- 市区町村に書類を提出
- リフォームが完成し全額支払い(一時的に)
- 市区町村に書類を提出
- 介護リフォーム補助金を受け取る(上限20万円のなかの7~9割程度)
このような流れとなっていることを理解しておきましょう。
また、一時的に全額支払わなければならないという点も注意が必要です。
一時的にではありますが、最大20万円の支払いをしなければならないので、リフォーム工事前に用意する必要があります。
まとめ
介護リフォームの費用や改修ポイントについては理解していただけたでしょうか。
在宅介護をするときには、ほぼ確実に必要になるのが介護リフォームです。
ただ、いきなりリフォームをすると言っても、実際にどのようなリフォームをすればいいのかわからないという方がほとんどだと思います。
利用者によっても必要なリフォームが異なるので、まずはケアマネージャーのような介護のプロの相談をして、アドバイスをもらいましょう。
ケアマネージャーに相談すること自体は無料なので、わからないことがあれば確認してみましょう!