成年後見人という言葉は聞いたことありますか?
もしくは、成年後見制度という言葉です。
親が老人ホームに入居する必要が出てきたときに、成年後見制度を利用することになるかもしれません。
今回の記事では、成年後見制度について解説します。
親や家族の財産を守るためにもとても重要な制度ですので、知らない方はぜひ参考にしてください。
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成年後見人・成年後見制度とは?
そもそも、成年後見制度についてよく理解しているという人はなかなかいません。
成年後見制度は一言で簡単に言ってしまえば、『判断能力の低下してしまった人』を守るための制度です。
判断能力が低下というのは、認知症や知的障がいなどのことを指します。
『一人では正しい判断が下せない』という方を守るための制度だということを覚えておきましょう。
成年後見人になれる人
成年後見人になるためには、大きな条件が必要だと思われがちですが、必要なモノはほとんどなく20歳以上であればだれでも成年後見人になることができます。
また、家族がいないのであれば弁護士事務所やNPO法人のような『法人』でも成年後見人になることが可能です。
法律の専門家に任せたほうが確実だという理由から、弁護士やNPO法人を成年後見人になることが増えています。
また、成年後見人になるために資格や試験というものはないので、家族でも簡単になることはできます。
その点は安心してもOKです!
成年後見人の役割
次は成年後見人の役割について解説します。
成年後見人の役割は、
- 財産の管理
- 介護サポート
です。
財産の管理については理解していたかもしれませんが、介護サポートについては知らなかった方も多いのではないでしょうか。
これから詳しく解説します!
財産の管理
まずは、財産管理ですね。
基本的には、財産を守るための制度なので財産の管理というのは妥当ですね。
財産を管理するため、責任は重大ですが犯罪や悪徳商法といったものから、財産を守ることができます。
また、家族のうちの誰かが、判断能力が低下している方の財産を使い込んでしまうというケースを避けることができます。
これらの危機から財産を守るのが役割の一つです。
介護サポート
もう一つの成年後見人の役割としては、介護サポートをするということです。
具体的には、生活物資の調達や介護のようなサポートです。
財産の管理もしているため、生活物資の調達はしなくてはなりませんね。
ただし、専門的な知識がないのに介護をするのは問題になってしまうので、介護サービスを契約することも可能です。
成年後見人の費用
成年後見制度を利用すれば、費用が掛かってしまいます。
掛かる費用は2種類で、
- 申し立て費用
- 後見人に対する報酬
です。
申し立て費用
申し立てには、大体5~11万円程度の費用がかかります。
内訳としては、登記の手数料や医師の診断書、住民票、戸籍謄本などを取得するための費用です。
これらをすべて合計すると、10万円強になることもあります。
医師の診断書にかなり費用が掛かってしまうので、注意が必要です。
後見人に対する報酬
実は、後見人はタダではありません。しっかりと毎年報酬を支払わなければなりません。
報酬ほどのように決まるのかというと、家庭裁判所が本人の財産や後見人の仕事量から報酬額を決定します。
毎年発生する費用なので、それなりのたくわえがないと厳しくなってしまいますね。
成年後見人にできること、できないこと
成年後見人には、判断能力が低下してしまった方を守るために、3つの権限が与えられています。
- 代理権
- 同意権
- 取消権
以上の3つです。
- 代理権は、判断能力が低下してしまっている方の契約を代わりに執行できる権利です。
- 同意権は、判断能力が低下してしまっている方の契約を代わりに同意することができる権利です。
- 取消権は、判断能力が低下してしまっている方が契約した内容を取り消すことができる権利です。
取消権に関しては、現在だけでなく過去の契約も取り消しすることが可能です。
もちろん、高額の詐欺のようなものを取り消すことができるだけで、日用品を取り消すことはできません。
その点には注意しましょう。
成年後見制度を利用することのメリット・デメリット
成年後見制度を利用することには、メリットもデメリットもあります。
両方とも解説します。
成年後見制度を利用することのメリット
- 後見人が財産を動かすことができる
- 犯罪や詐欺行為を取り消すことができる
- 財産の浪費を防げる
これらのメリットが挙げられます。
特に最近ではオレオレ詐欺のような詐欺も流行っていて、判断力が低下している方だといろいろな詐欺に掛かってしまう可能性があります。
そのような詐欺の対策にもなりますし、過去に詐欺をされていればそれを取り消すこともできます。
また、判断力が低下している方だとお金の使い込みをしてしまうことが多々あります。
後見人が財産を管理することによって、そのような使い込みを避けることができるのでメリットと言えますね!
成年後見制度を利用することのデメリット
- 申し立てに大きなお金が必要
- 必要なこと以外にお金を使えなくなる
- 成年後見人の取り下げが難しい
これらがデメリットです。
まず、先ほども言った通り申し立てには10万円程度の費用が掛かってしまいます。
それに加えて、毎年報酬を支払わなければならないのでどんどん財産が減ってしまいます。
また、必要なこと以外にはお金を使わせてもらえないという点も大きなデメリットです。
要介護5で寝たきりであれば、仕方ないと思えるかもしれませんが、まだまだ動けるような方であれば、自由度が減ってしまい、人生がつまらなくなってしまいます。
そして、後見人は取り消すことができません。
何らかの不祥事が起きれば話は別ですが、個人の勝手な理由で解任することができないので、契約前に細心の注意をする必要があります。
成年後見制度を利用するべきケース
成年後見制度を使うべきケースというのは様々ですが、『認知症』や『知的障がい』に悩んでいるのであれば、利用するべきであると言えます。
成年後見制度は、そういった自己判断が難しい方たちの財産を守るためにある制度です。
困っているのであれば、利用するのがおすすめです。
また、いきなり利用することに不安を覚えるのであれば、弁護士に相談してみることから始めてもいいですね。
まとめ
成年後見人・成年後見制度について理解できたでしょうか。
自己判断力が低下している方を守る制度だということがわかっていただければOKです。
また、身寄りがない方でも財産を守るために利用するというのも一つの手です。
財産を守りたいと考えているのであれば、成年後見制度を利用してみましょう!