親の介護を考えるうえで、「遠距離介護」というのがよく問題視されています。
近年では、核家族化が進み、親とは離れて暮らしているといった方も多いでしょう。
その際、せざるを得ない「遠距離介護」には、緊急時の対応や費用など、悩みの種が多くありますよね。
そこで今回は、遠距離介護で上手に支援を行うコツを紹介していきたいと思います!
遠距離介護のメリット・デメリットも詳しく解説しているので、ぜひ最後まで読んでみてください!
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遠距離介護ではどのような支援が必要なのか?
「遠距離介護」といっても、直接サポートできるわけではないので、何をすればいいのかってよくわからないですよね。
直接介護を行っていなくても、親の心身状況を考え介護のプランを立てることが遠距離介護に繋がります。
ここでは、遠距離介護の支援として使われるサービスをみていきましょう。
- 介護保険サービスの利用
- 自治体が提供するサービスの利用
- ボランティア団体が提供するサービスの利用
- 民間サービスの利用
介護保険サービスの利用
ご家族が直接介護ができない代わりに、介護保険サービスを利用しましょう。
介護保険サービスには、
- 訪問型サービス
- 通所型サービス
- 宿泊サービス
- 福祉用具レンタル
- 住宅改修
などがあります。
以上のサービスを、身体状況に合わせて利用することが可能です。
遠距離介護の場合、介護の空白時間や緊急時の対応に不安を感じないように、介護サービスを組み立てることが大切でしょう。
自治体が提供するサービスの利用
地域によって異なりますが、自治体には独自の支援サービスがあります。
見守りサービスやおむつの援助、ゴミ出しサービスなど生活に関する支援が提供されているのです。
住んでいる自治体でどのようなサービスが提供されているかは、自治体のホームページや窓口で配布されている冊子などで確認できます。
ボランティア団体が提供するサービスの利用
自治体が提供しているサービスのような生活支援をはじめ、家事代行や居場所づくりのサービスをボランティア団体が行っています。
ボランティア団体といっても、無償及び有償でもサービスを提供しています。
地域のボランティアがどのようなサービスを行っているかは、ケアマネージャーや地域包括支援センターを運営している社会福祉協議会に問い合わせてみてください。
民間サービスの利用
近年、民間企業が行っている高齢者向けサービスは増えてきています。
サービス内容は、配食サービスや見守りサービスとさまざまです。
「こんなサービスはさすがにないだろうな~」と思っても、インターネットで検索してみれば意外と見つかることもあります。
さらに、民間サービスでも地域に密着しているサービスであれば、地域包括支援センターにも情報が集まっているはずです。
民間サービスを利用予定でも、自治体の窓口に話を聞きに行くのは大切かもしれませんね。
また、遠距離介護では安否確認カメラを使うのもひとつの手です。
離れて暮らしていても、いつでもスマートフォンなどで親の様子を確認することができます。
いつでも異変に気付ける・気付いてもらえるという環境を用意することで、親もご家族も安心できるのではないでしょうか。
遠距離介護に必要な支援の準備
介護が必要になったとしても、いきなり遠距離介護を始めるのはとても難しいです。
親の日頃の状態を知らなければ、適切な介護サービスを選ぶことはできません。
遠距離介護には事前の準備が必要ということですね。
また、親の心身状況や生活について詳しく知っておく必要があるので、親が元気なうちに進めておくことが大切でしょう。
親が遠方に住んでいて、いつしか遠距離介護になってしまう可能性のある方は、早め早めで準備をしておくことをオススメします。
- 親の資産を把握しよう
- 近所の老人ホームを調べておこう
- 親の人間関係を知っておこう
- 介護休暇について調べておこう
- 介護リフォームをしよう
- 親の生活リズムを知ろう
- 親に介護の希望を聞こう
- 介護相談サービスを利用しよう
親の資産を把握しよう
遠距離介護を始めるにあたって、まず親の資産を確認するようにしましょう。
預貯金がどれくらいあるのか、どのような生命保険に加入しているのかを把握することで、介護の方針が決めやすくなります。
資産を確認する際は、通帳や印鑑の場所も把握しておくようにしましょう。
認知症を発症すると、詐欺や悪徳商法に引っかかりやすくなります。
貴重品の保管場所をご家族も把握しておくことが大切です。
近所の老人ホームを調べておこう
老人ホームへの入居も検討し、近所にはどのような施設があるか調べておきましょう。
認知症の発症や身体状況の悪化により、いつ一人で生活できなくなるかはわかりません。
その際、遠距離介護だと常にご家族がそばにいてサポートできるわけではないので、老人ホームへの入居が必要となってきますよね。
一般的に、要介護以上となると遠距離介護は難しくなるといわれています。
親の基礎疾患や身体状況によって入居できる老人ホームは変わってきますので、施設を選ぶ際はその点に注意しましょう。
親の人間関係を知っておこう
親がいつも会っている人や近所に住んでいる人など、人間関係を把握しておくことも大切です。
普段から参加している集まりなどがあれば、それも知っておくといいでしょう。
もし、あまり近所付き合いがない親だったら、帰省した際に近所の方に親の状況や心配事を伝えておくことが大切です。
地域社会の中で孤立しないような環境をつくってあげるようにしましょう。
そして、近隣の人の中で、親に何かあった際に連絡をとれる人物を探しておくことが大切です。
介護休暇について調べておこう
万が一のときに使える、介護休暇などについて調べておくようにしましょう。
介護休暇とは、怪我や病気、高齢などを理由に、家族に何らかの介護が必要となった際に取得できる休暇のことです。
介護とみなされる範囲、取得日数、保証される賃金は、企業によって異なりますので、事前に確認しておくようにしましょう。
介護リフォームをしよう
介護が必要になると、同じ環境でいままで通り生活することは難しくなります。
家の中でのケガを防ぐためにも、介護リフォームは必要となってくるでしょう。
手すりを付けたり、段差をなくしたりすることで、転倒防止だけでなく、生活の質の向上にも繋がります。
要介護認定を受ければ、介護給付を受け取ることもでき、介護保険適用でバリアフリー化できます。
できるだけ費用を抑えてリフォームしたい人は、ケアマネージャーに相談して進めていくようにしましょう。
親の生活リズムを知ろう
日々の食事内容や外出状況などを、なるべく把握しておくようにしましょう。
親が日常生活の中で、どのようなシーンに支援を必要としているのか、不安を感じているのかを確かめておくことが大切です。
不安なことだけではなくて、楽しみにしていることや趣味もあれば把握しておきましょう。
このようなことを把握しておくことで、身体機能維持・向上のためのレクリエーションなどに活用することもできます。
親に介護の希望を聞こう
実際に介護が必要になったら、どのような対応を取ってほしいのか確かめておくことも大切です。
わたしたち子どもが親のことを心配しても、本当に一番不安を抱えているのは親自身です。
今後の生活において、どのような希望があるのか聞いておくようにしましょう。
しかし、親に直接聞いても、プライドなどが邪魔して正直に気持ちを話してくれないこともあります。
一方的に聞くのではなくて、親の気持ちに寄り添って聞き出すようにしましょう。
親の希望を反映させて、今後の介護に備えておくことが大切です。
介護相談サービスを利用しよう
地域包括支援センターでは、介護に関するあらゆる相談に乗ってくれます。
要介護認定を受ける前、つまり介護予防の段階からも相談することが可能です。
今後利用するかもしれない介護サービスについて知りたいと思ったら、親も一緒に連れていって話を聞きましょう。
サービスの利用方法や、地域で提供しているサービスまで、細かく説明してくれますよ。
また、地域包括支援センターや役所の福祉担当の課には、介護保険に関するしおりや介護サービスの冊子などが多く用意されています。
そのような資料を手元に置いておくことで、いざという時に手続きがしやすくなるでしょう。
遠距離介護で支援を行うメリット
遠距離介護には、親にとっても介護者にとってもメリットがあります。
では早速、遠距離介護で支援を行うメリットをみていきましょう!
- 介護ストレスの軽減
- 介護離職を防げる
- 介護保険サービスを利用しやすい
介護ストレスの軽減
親と同居していない分、介護に関するストレスは軽減されます。
介護ストレスというのは問題視されがちです。
「私がしっかりしなきゃいけない!」と責任感を感じ、一人で溜め込みやすくなってしまうからです。
そのため、介護による共倒れも発生しやすくなっています。
離れて暮らしていると距離を置くことができるので、介護のことを客観視しやすくなります。
介護に携わる環境に常にいるという状況を防げるので、追いつめられるほど悩むといったリスクを防ぐこともできるのです。
介護と自分の生活を分けて考えられるというのが、ストレスの軽減に繋がるのですね。
介護離職を防げる
遠距離介護を行えば、介護者が現在住んでいる地域から離れる必要はありません。
そのため、介護のために勤めている会社を退職する「介護離職」を防ぐことができます。
親の介護に直面する年代は、中年期が多く、一度退職してしまうと再就職は難しいでしょう。
再就職できたとしても、給与が減ってしまうことが多く、介護者の老後の貯金や年金を減らすことにも繋がってしまいます。
介護離職とは、大きなリスクを伴うということですね。
そのため、引っ越しの必要がない遠距離介護において、介護離職を防げるというのは大きなメリットとも言えます。
介護保険サービスを利用しやすい
急遽、親の介護が必要となった場合、遠距離介護だと介護保険サービスが利用しやすいです。
身近にサポートしてくれる親族がいないという生活状況を考慮されて、老人ホームへの入居優先順位が高くなります。
特に、入居待ちが多い特別養護老人ホーム(特養)では、このような介護の必要性が入居にあたって重要視されます。
質の高い介護サービスを安い費用で受けられる特養はとても人気です。
そんな人気の老人ホームに早く入れるというのは、大きなメリットですよね。
遠距離介護で支援を行うデメリット
何事にも、メリットがあればデメリットもありますよね。
遠距離介護にも、少なからずデメリットが存在します。
早速デメリットを紹介していきますが、解決策も同時に説明していくので、デメリットがあるkらといって遠距離介護を諦めないでください!
- 緊急時の対応が難しい
- 費用負担が大きくなる
緊急時の対応が難しい
親の心身状態を、常日頃からチェックできるわけではないので、体調が急に悪化してもすぐに気付くことができません。
緊急時の対応については、こまめに連絡を取る以外にも体制を考えておかなければいけませんね。
まず、ケアマネージャーと相談して、安否確認と見守りを兼ねているサービスの利用を検討しはじめましょう。
さらに、先ほども軽く言いましたが、近所の人とコミュニケーションを取って、いざという時は助けてもらえる関係性を築いておくのも大切です。
費用負担が大きくなる
遠距離介護を行うにあたって、お金がかかるというのは大きなデメリットでもあるでしょう。
遠距離介護では、
- 住宅費改修費
- 介護サービス費
- 通信費
- 交通費
などの費用が主にかかります。
それぞれ詳しくみていきましょう。
住宅改修費
先ほども説明した通り、介護が必要となると今までと同じ環境で過ごすことは難しくなります。
そのため、親の身体状況が悪化しないように、住宅改修を行うのもひとつの手です。
家の中で転倒し怪我をしてしまえば、親の身体状況は確実に悪化し、遠距離介護の継続も難しくなるでしょう。
家の中をバリアフリー化し、事故を事前に防ぐことが、親の要介護度上昇や遠距離介護の中断を防ぐことに繋がるわけです。
しかし、介護リフォームとなると相当な金額がかかってしまいますよね。
実は、その費用を軽減させる方法があるのです。
住宅改修費を軽減させるには、介護保険制度を利用しましょう。
介護保険制度では、要介護認定を受けた方に対して住宅改修を行う際に上限20万円が給付されます。
また、自治体によっては別途補助金をだしているところもあります。
ケアマネージャーや自治体に、どのような工事にどれくらいの給付金を受けることができるのか、事前に確認しておきましょう。
介護サービス費
要介護認定を受けたら、自己負担額1割∼3割で介護サービスを受けることができます。
一部負担で介護サービスを利用するには、まず要介護認定を申請するようにしましょう。
申請後30日以内に結果が通知され、要支援1∼要介護5と認定されれば介護保険サービスを利用できます。
自己負担額の割合は、収入によって変動するので、申請が通ったらそちらも確認するようにしましょう。
通信費
遠距離介護を始めるとなると、親の心身状況を確認すべく、どうしても電話の回数が増えますよね。
そうなれば必然的に毎月の電話代が高くなります。
また、親がお世話になっているケアマネージャーやなどとの連絡も増えるので、さらに出費は増えるでしょう。
少しでも通信費を減らすには、無料アプリや割引などを使うようにしましょう。
LINEやSkype、Facebookなどは無料で通話できるので、いまや遠距離介護には必須といえます。
しかし、これらのツールをいきなり高齢者が使いこなすのは難しいので、会いに行った際にはしっかり使い方を教えてあげるようにしましょう。
交通費
いくら遠距離介護といっても、親が要介護認定を受ければ、確実に帰省の回数は増えます。
実家までの距離が遠ければ遠い分、交通費もかさむでしょう。
帰省の際、一番費用がかかるのは飛行機です。
しかし、現在、全日空や日本航空では、介護帰省割というのを実施しています。
申し込みには、
- 介護保険証、介護認定通知
- 戸籍謄本、戸籍抄本
- 現住所が記載された書類
が必要になります。
航空券は高額なので、こうした割引は積極的に利用していったほうがいいでしょう。
JRでは、介護に特化した割引は実施していませんが、ネット上で早期に予約すれば割引がきくキャンペーンもあります。
しかし、緊急時に行くとなると早めに予定はわかりませんから、回数券の購入もオススメです。
遠距離介護での支援を成功させるコツ
遠距離介護について解説してきましたが、普通の介護よりも大変そうなこともいくつかありましたね。
しかし、遠方での自身の生活もしっかり維持するためには、遠距離介護を行うことをオススメします。
そこで、大変な遠距離介護での支援を成功させるコツを紹介していきたいと思います!
- ケアマネージャーと連絡を取ろう
- 近所の人と親しくしておこう
- なるべく親の資産を使おう
- 介護サービスは常にチェックしよう
ケアマネージャーと連絡を取ろう
親の生活をサポートしてくれるケアマネージャーに、安心して任せることができれば、自身の生活も今まで通り維持しやすいですよね。
ケアマネージャーと頻繁に連絡をとり、親の心身状況や介護サービスの利用状況についてこまめに話を聞いたり、相談したりするようにしましょう。
近所の人と親しくしておこう
何度も言っていますが、近所の人と親しくしておくことはとても大切です。
帰省した際は、お土産などを持参して、あいさつをしておいたほうがいいでしょう。
良い関係性を築いておくことで、普段からの見守りだけでなく、災害時に避難の支援も受けられるようにしておくことが重要となってきます。
なるべく親の資産を使おう
とにかく介護にはお金がかかります。
兄弟姉妹で協力して介護を行っている場合、「誰がどのくらい負担するか」などで金銭的トラブルにもなりかねません。
親の遠距離介護で大変なときに、身内で揉めたくないですよね。
さらにトラブルが起きてしまえば、「私のせいで険悪な雰囲気になってしまった…」と親自身が落ち込んでしまうことも考えられます。
ですので、介護にかかる費用は親自身の年金や預貯金で支払えるように計算をしておきましょう。
介護というのは、親の生活の質を維持するための行うものですから、自身のお金を使ってもらうことに、全く問題はありません。
そのために、あらかじめ資産状況について親や兄弟姉妹と話し合いをしておきましょう。
この項目については、親が元気なうちに必ずやっておくことが大切です。
介護サービスは常にチェックしよう
遠距離介護の支援に使うサービスには、さまざまな種類がありましたよね。
遠距離介護は、介護者が直接サポートできるわけではないので、これらのサービスをうまく組み合わせることが重要となってきます。
親の心身状況にあった介護サービスを利用するためにも、常に情報収集しておくことが大切です。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
遠距離介護の支援については、理解していただけたでしょうか?
親の介護といえば、四六時中付き添って直接サポートしなければいけないのかと思っていました。
しかし、現在は介護サービスが充実してきて、遠距離介護といった新しい支援の形もできているのですね。
遠距離介護は、自分たち家族にあったやり方で支援をしていくことが一番大切です。
遠距離介護を始めようと思っている人や今後遠距離介護の可能性がある人は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください!