認知症サポーターとは、認知症に対して正しい知識を持ち認知症患者やその家族をサポートしてくれる人のことです。
現在の日本では認知症を患う高齢者が増えているので、地域などでも認知症の方と歩み寄って暮らす社会づくりに力をいれています。
そのような社会を構築するにあたって、認知症サポーターとは大きな要になります。
そこで今回は、そんな認知症サポーターについて詳しく解説していきたいと思います!
認知症サポーターになる方法やメリットなども紹介していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
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認知症サポーターとは?
認知症サポーターとは、認知症に対する正しい知識をもち、地域の認知症の方やそのご家族の方をできる範囲でサポートする人のことです。
認知症サポーターは、日常生活の中で認知症への理解や支援の心を持ち行動するだけです。
「大切なのは気持ちだけってこと?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
しかし、認知症支援において周囲の人が病気に対する理解をもつことはとても大切です。
2020年6月末時点では、約1,270万人が認知症サポーターとして、地域の認知症の方やそのご家族の方を支えています。
なぜ認知症サポーターが誕生したのか?
そもそも認知症サポーターとは、2005年から「認知症を知り地域をつくるキャンペーン」として、厚生労働省が行ってい活動の一環です。
認知症サポーターキャラバンと名付けられているこの活動で、認知症サポーターの養成を行っていました。
その後2015年に発表された認知症施策推進総合戦略では、「認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進」が定められ、主な施策として認知症サポーターの養成が掲げられたのです。
ではなぜ、認知症サポーターが誕生したのでしょうか?
主な要因は、「高齢化」です。
日本は高齢化が進んでおり、それに伴い認知症患者も増え続けています。
このままだと介護施設やご家族だけでは、認知症の方を支えるのは困難です。
そのような状況を改善すべく、打ち出されたのが「認知症サポーター」というわけです。
また、介護が必要な認知症の方でも、住み慣れた地域や自宅でいつまでも暮らし続けたいと思っています。
認知症というのは、日常生活の中で意外と近くに存在しているということです。
そうなれば必然的に、認知症の方もそうでない方も共に暮らし、歩み寄っていく必要があるでしょう。
地域の方全員が住みやすい社会をつくるには、認知症のことを理解しサポートしてあげられる存在が必要なのです。
認知症サポーターになる3つのメリット
認知症サポーターになるメリットとして、以下の3つが挙げられます。
それぞれのメリットを詳しく確認しておきましょう。
- ご家族でも適切な対応ができる
- 認知症サポーター同士の交流ができる
- 認知症患者が住みやすい地域になる
1.ご家族でも適切な対応ができる
認知症の介護は大変なことが多いです。
以前は元気だった親に暴言・暴力を受けるようになったり、頼んだことをすぐに忘れられたりしてしまうなど、介護するご家族もツラい思いをする場面が多くあります。
介護に限界を感じて、言い合いになってしまうなんてこともありえるでしょう。
しかし、認知症の症状や対処法を理解しておくことで、お互い苦しまない正しいケアをすることができるのです。
2.認知症サポーター同士の交流ができる
認知症サポーターになる人というのは、「認知症の正しい知識を身に着けたい」「認知症の方を支えたい」などと考えている人が多いです。
自らも認知症サポーターになることで、そのような方と繋がりが持てます。
万が一、認知症の介護で困ったことがあれば、きっと心強い味方になってくれるでしょう。
認知症サポーターの中に「元介護士」などの経験がある人がいれば、具体的なケア方法やコツなどを教えてもらえるかもしれません。
3.認知症患者が住みやすい地域になる
認知症サポーター同士の繋がりができるということは、地域の中に認知症に対する理解をもっている方が増えるということでもあります。
地域全体で、認知症患者を見守る体制を整えることができるでしょう。
認知症の症状として「徘徊」があげられますが、見つけたときに連絡してくれたり、患者を保護してくれたりする人が近くに住んでいれば、ご家族も安心して暮らすことができるのではないでしょうか。
一人で行う介護は、悩みや不安を抱えやすく、限界を感じやすいです。
体力的・精神的にもツラい思いをするでしょう。
しかし、地域の方と協力して認知症患者の介護ができれば、負担も軽減され安心できますよね。
認知症サポーターにとって大切な5つのこと
認知症サポーターにとって、目指すべき大切なことは以下の5つです。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
- 認知症に対して正しく理解し、偏見をもたない
- 認知症の人や家族に対して温かい目で見守る
- 近隣の認知症の人や家族に対して、自分なりにできる簡単なことから実践する
- 地域でできることを探し、相互扶助・協力・連携・ネットワークをつくる
- まちづくりを担う地域のリーダーとして活躍する
1. 認知症に対して正しく理解し、偏見をもたない
残念ながら、現在の日本には認知症に対する誤解や偏見が存在しており、認知症患者の方やそのご家族を苦しめています。
万が一自分の周りにそのような方がいても、強く反論する必要はありません。
「私も以前はそう思っている時期もあったけど、認知症サポーター養成講座を受講したら勘違いしていることもあったよ」と素直に言葉にしてみましょう。
理解してくれている人がいるだけで、認知症患者の方やそのご家族は救われた気持ちになります。
また、認知症患者ご本人が、自ら抱えていた偏見に苦しむこともあるでしょう。
「認知症になってしまったからもうだめだ…」などと絶望してしまうことも多くあります。
しかし、認知症というのは誰しもなる可能性を抱えています。
もしかしたら、あなた自身が認知症になるかもしれないでしょう。
そのとき、認知症サポーターであれば、自分がよく知っている病気になっただけなので、病気を受け入れやすくなり前向きに人生を送ることができます。
2. 認知症の人や家族に対して温かい目で見守る
認知症の方やそのご家族は、周りの目を気にして本来できるはずの自分らしい生活を送れないことがあります。
たとえば、簡単な計算ができなくなってしまうことで、お会計が苦手になってしまうことがあります。
レジで戸惑っているところを周りの人に変な目で見られたり、怒られたりするのではないかと不安になり外出を避けてしまうこともあります。
また、認知症のご家族の方も外出を避けてしまうこともあります。
認知症患者がおかしな言動を取ってしまわないかと周りの目を気にして、ご本人との外出を避けるようになってしまうのです。
自分自身がそうなってしまうことを考えれば、これがどんなに辛いことか分かるでしょう。
もし同じ地域で認知症の方がレジで戸惑っていたり、おかしな言動をしていたりしても、怒ったり態度に出したりしてはいけません。
ご家族が「すみません」などと謝ってきたら、「お互い様です」「気にしていないですよ」など、優しい言葉をかけてあげるようにしましょう。
そのような小さな優しさがあるだけでも、認知症の方やそのご家族は外出しやすくなります。
3. 近隣の認知症の人や家族に対して、自分なりにできる簡単なことから実践する
プロの介護士でなくても、認知症の方やそのご家族にできることはたくさあります。
道に迷っている人がいたら声をかけてあげたり、踏切近辺で戸惑っている人がいたら一緒に渡ってあげたり、介護者の愚痴を聞いてあげたり…そんな些細なことで構いません。
些細なことでもたくさん支えてあげれば、それは大きなサポートとなります。
簡単に行えることを多くの人が少しずつ実践することで、認知症の方やそのご家族も生活しやすくなる社会に近づくのではないでしょうか。
4. 地域でできることを探し、相互扶助・協力・連携、ネットワークをつくる
自分でできる簡単なことから実践していこうと説明しました。
無理して一人だけで大きなサポートをする必要はなく、自分ができないことや知らないことは他の人に任せればいいのです。
そこで大切なのは、誰に・どこに任せればいいのかということです。
地域包括支援センターがどこにあるか、地域の介護事業所に知り合いのスタッフがいるなど、頼れる組織や人はすぐに浮かびますか?
困ってる人を助けるためにはどこに頼ればいいのか、すぐに思いつく状態にしておきましょう。
そして、目の前で困っている人がいれば、無視はせずにその場所で繋げてあげることが大切です。
5. まちづくりを担う地域のリーダーとして活躍する
今後認知症の方が増えていくと、ご家庭だけでは支えきれず、地域全体としてサポートしなければいけなくなっていきます。
それはあなただけでなく、現在住んでいる地域も認知症に優しくならなければいけないということです。
ただし「認知症の方」にだけ優しい地域ではよくありません。
見守りがあれば子供を助けることができますし、悪徳商法への対策は認知症以外の高齢者も助けることができます。
認知症の方が抱えている課題というのは、意外と他の方も困っている議題であることが多いです。
そのため認知症サポーターの方は、地域の認知症の方やそのご家族の悩みや不安を知り、それを地域のさまざま共有する必要があります。
認知症サポーターは誰でもなれるものなので、資格として役立ったり特別に認められたりするものではないかもしれません。
しかし、たまには地域の集まりや職場でオレンジリングを身につけてみてください。
意外にも近くに同じ日常サポーターの方がいるかもしれませんよ。
そのような機会を得て認知症サポーターのネットワークを広げていくことで、より安心して暮らせる地域が出来上がっていくのです。
認知症サポーターになる方法とは?
認知症サポーターになるには、どうしたらいいのでしょうか?
実は今回取り上げている認知症サポーターとは、職業ではなく、特別な資格も必要ありません。
1回90分の「認知症サポーター養成講座」を受講するだけで、誰でもなることができます。
もちろん、この養成講座にも受講資格等はありません。
介護関係の団体や企業、公的機関だけでなく、さまざまな職場や学校などで養成講座は開かれているのです。
幅広い年代に広がりをみせているということがわかりますよね。
認知症サポーター養成講座の内容とは?
認知症サポーター養成講座の内容は、以下の通りです。
- 認知症とはどのようなものなのか
- 認知症の症状
- 認知症の診断・治療
- 認知症の予防
- 認知症の人と接するときの心構え
- 認知症介護をしている人の気持ち
- 認知症サポーターの役割
上記の講座は、キャラバン・メイトと呼ばれる講師によって開かれます。
講座が修了すると、認知症について学んだ証としてオレンジリングを受け取ることができます。
基本的には自治体によって開かれている認知症サポーター養成講座が多いので、開催情報は市区町村のホームページや広報誌などをチェックしておきましょう。
市区町村の福祉窓口も情報を把握しているので、問い合わせてみるのもいいかもしれません。
まとめ∼認知症サポーターとは∼
最後まで読んでいただきありがとうございます。
認知症サポーターについては理解していただけたでしょうか?
認知症に対して正しい知識を持ち、支援してくれる人だということがわかりましたね。
認知症サポーターは特別な資格が必要なく誰でもなれるものです。
そのような役割を持った方が地域に増えれば、認知症の方やそのご家族も安心して暮らせる町になっていくことでしょう。
認知症サポーター養成講座は無料で受講することができるので、機会があればぜひ受けてみてください!