『母親が認知症のような言動をするようになってしまったのですが、認知症になるとどのような問題があるのでしょうか』
『認知症の父親を在宅介護しようと考えているのですが、どのような点を注意すればいいですか?』
家族が認知症になってしまうと、そのご家族の方はこのような悩みを抱えていることが多いです。
認知症は本人にとっても、家族の方にとっても大きな問題ですね。
また、認知症になってしまうと混乱から暴力や暴言をするようになり、家族にとっては大きなストレスになる可能性があります。
ご家族の方が認知症についてしっかりと理解していないと、家族に亀裂が入ってしまうので、この記事を読んでしっかりと確認してみましょう。
また、ご家族の方が認知症になっていなくても、いつか認知症になるかもしれないので、他人事と思わずに参考にしていただければ幸いです。
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認知症とは
そもそも、認知症という名称は病名ではなく、記憶の情報を正しく判断できない状態のことを指しています。
元々は『痴呆症』という名称で呼ばれていましたが、痴呆という感じには悪い意味が含まれているために、認知症という名称に変わりました。
認知症は単なる物忘れとは違い、体験したこと自体を忘れてしまうことを指します。
例えば、お昼ごはんにスパゲッティを食べたしましょう。
スパゲッティを食べたことは覚えていないが、お昼ご飯を食べたことを覚えている方は単なる『もの忘れ』です。
認知症の方だと、お昼ご飯にスパゲッティを食べたこと以前に、お昼ご飯を食べたことを忘れてしまうのです。
これがもの忘れと認知症の差なので覚えておきましょう。
認知症の特徴
次は、認知症の特徴について解説します。
- 体験そのものを忘れる
- 時間や場所がわからない
- 忘れたことを自覚できない
これらが主に認知症の特徴と言えることでしょう。
一つずつ解説します。
体験そのものを忘れる
先ほども紹介した通り、体験したこと自体を忘れてしまうのが認知症の特徴です。
食べたことを忘れてしまうため、『お昼ご飯を出してもらえなかった』と言って被害妄想に発展してしまうことも多々あります。
時間や場所がわからない
認知能力がなくなってしまうので、今が何曜日の何時なのか分からなくなってしまいます。
また、自分がどこにいるかも全く理解していないことがあります。
例えば、自宅にいるのに『家に帰らなくちゃ…。』と言って自宅を出ていってしまうといった事例もあるのです。
ただし、これは過去の家を思い出して徒歩で途方もなく歩くことが多いのですが、認知能力が明らかに低下しているということはわかると思います。
忘れたことを自覚できない
そもそもなのですが、忘れたということを認識できないのです。
なので、『お昼ご飯を食べたことを忘れた』ということを忘れてしまっているために被害妄想に繋がってしまうのです。
忘れたこと自体忘れてしまうので、家族との言い争いに発展してしまいます。
また、忘れたことを思い出せないので、ご家族の方が『お昼ご飯は食べたでしょ!』と言っても不安になってしまうだけという問題があります。
認知症の方にとっては体験していないことなので、体験していないことを言われてしまうと混乱してしまうのです。
認知症の方がする言動
次は、認知症の方が実際に起こしてしまう言動について解説します。
- 被害妄想
- 徘徊
- 暴言・暴力
主にこの3点について解説します。
被害妄想
先ほど言ったような被害妄想とは別に、本当に被害妄想をすることが多々あります。
例えば『財布の中身が入ってない!』『家族に悪口を言われる』『ご飯を食べさせてもらえない』などですね。
これは、悪口を言いたいという感情からきているのではなく、『周囲への不満』や『認知症の症状が苦しい』といった助けを求めている感情から出てきてしまいます。
この気持ちを理解してあげないと、認知症の方とご家族の方で喧嘩になってしまうことがあるので、注意が必要ですね。
徘徊
先ほども言いましたが、自宅にいるのにも関わらず『家に帰る』と言って外出してぐるぐると徘徊している途中で目的が判らなくなってしまい、行方不明となってしまうことがあります。
また、2018年の警察庁によると、認知症による徘徊によって行方不明となっている方の人数は16927人と発表されています。
『家に帰りたい』という気持ちがあるので、家族に止めることはできません。
なので、GPSの追跡機能やご家族自身が付いていくなどの方法を取る必要があります。
それでも、見ていない時に徘徊してしまい、行方不明になってしまうこともあるので、完全に対策することは不可能です。
暴言・暴力
暴力や暴言は誰でも起こすわけではないですが、このような行動を起こしてしまう方もいます。
暴力や暴言をしてしまう時の精神状態としては、
- 不安を感じている
- 感情をコントロールできない
- 体調が悪い
などの現れなのです。
なので、暴力や暴言をされたからと言って、暴力や暴言で返してしまうとさらに悪化させてしまう可能性があります。
絶対に暴力や暴言で対抗しないようにしましょう。
暴力や暴言をさせないためには、日ごろからコミュニケーションをしっかりと取って、不安や悩みを解決してあげることが大切です。
認知症の方を介護するときに気を付けるべきポイント
認知症の方の症状を見てもらえればわかると思いますが、ご家族の方にはかなり大きな負担が掛かってしまいますよね。
そのため、認知症の方を在宅介護していると『介護うつ』になってしまう方も多いのです。
介護うつにならないためにも必要なことがあるので紹介します。
- 頑張りすぎない
- 1人で介護をしない
- いつか終わると考える
これらが大事です。
頑張りすぎない
家族が認知症になってしまうと、『どうにかしなきゃ…。』という気持ちや『自分のせいで認知症になってしまったのかも…。』と思ってしまい、介護を頑張りすぎてしまう方がいます。
ただ、介護をしている方が倒れてしまったら意味がなくなってしまうので、自分のできる範囲で頑張ればいいのです。
自分自身のこともしつつ、介護もするくらいの考えでないと、介護うつにつながってしまうので気を付けましょう。
1人で介護をしない
また、介護を1人でやろうとしてしまう方もいるのですが、介護うつになってしまう可能性が高まってしまいます。
自分一人で抱え込まず、知り合いに愚痴を言うことや、配偶者、兄弟にも手伝ってもらうなどしてストレス緩和をしましょう。
また、一日ごとに利用できる介護保険サービスもあるので、そちらを利用するのも一つの手段でしょう。
いつか終わると考える
どうしてもつらいという時が来ます。
ただ、『この介護もいつか終わるんだ』と思えば、認知症を患っている方との時間を大切にしようと思えるようにしましょう。
在宅介護に限界を迎えたら介護施設を利用することも考えましょう
ただ、在宅介護を頑張ると言っても限界というのは必ずやってきます。
寝たきり状態になってしまえば、家族だけで介護をすることはほとんど無理と言っても過言ではありません。
そうなってからでは遅いので、介護施設への入居を考えることも大切です。
- 介護付き有料老人ホーム
- 特別養護老人ホーム
- 認知症対応型共同生活介護
認知症の方でもしっかりとした介護を受けることができる介護施設です。
中でも、認知症対応型共同生活介護という老人ホームは、認知症の方が入居出来て、5~9人の入居者と共同で生活するための介護施設です。
どの老人ホームを利用していいかわからないという方は、認知症対応型共同生活介護をチェックしてみるといいでしょう。
まとめ
認知症の方を介護するために必要なことや認知症について解説してきましたが、理解していただけたでしょうか。
認知症は誰でもなる可能性のある状態です。
若いうちからの習慣によって認知症になる可能性は変わってくるので、日々の行動を見直してみることをおすすめします。