老人ホームを選ぶにあたって、「費用」を気にしている方は多いでしょう。
経済状況はご家庭によって異なりますし、どうしても一般的な老人ホームに入居できないといった事情が出てくることもあります。
しかし、自宅での生活が不安な方は、施設に入居できないとなると今後どうしていいのかわかりませんよね。
そのような方の強い味方となるのが、「養護老人ホーム」です。
地方公共団体と社会福祉法人が主に運営しており、食事提供をはじめとする健康面のサポートを受けることができます。
介護サービスが提供されていないなどの制限はありますが、他の老人ホームに入居できない方でも低価格で利用できるので人気の施設です。
そこで今回は、そんな養護老人ホームについて詳しく解説していきたいと思います!
みなさんが気になっている費用やサービス内容、名称が似ている特養との違いも説明していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
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養護老人ホームとは?
養護老人ホームとは、経済的な理由で生活が困窮しており、自力で暮らすことが困難な高齢者のための施設です。
住居がなかったり、年金を受給していなかったりする高齢者が対象となっています。
「介護が必要である」という点は関係なく、精神的・環境的な理由などで生活が困窮し、自宅で暮らすことができないというのが入所条件です。
介護の必要性は無関係というところからピンときた方もいるかもしれませんが、養護老人ホームは介護施設ではありません。
養護老人ホームの起源をたどれば、戦前にあった孤独な高齢者の保護施設です。
根本的な機能は現在も引き継がれ、住む場所がない高齢者を受け入れるセーフティーネットの役割を果たしています。
そのため、高齢者の最後の砦と呼ばれることもあります。
養護老人ホームの目的とは?
養護老人ホームは、介護施設ではないと説明しました。
そのため、介護を受けることではなく、「社会復帰を促すこと」が目的とされています。
入居者が自立して生活できるようサポートすることが目的なので、長期的な施設利用はできません。
養護老人ホームのスタッフは支援員と呼ばれ、入居者15名ごとに1名所属することが義務付けられています。
支援員は財政面のアドバイスをしたり、地域との交流のためレクリエーションを開催したりしてくれます。
養護老人ホームの費用は?
養護老人ホームの費用は、明確には決まっていません。
入居金は一切かかりませんが、月額費用は前年度の収入によって決定します。
入居者本人の収入のみに限らず、扶養義務者の年収が元となることもあります。
そのため、39段階と複雑な月額費用が定められているのです。
しかし、高くても大体14万円程度に抑えられるでしょう。
利用費は施設がある地域によって変動しますので、事前に確認しておくようにしましょう。
養護老人ホームと特別養護老人ホームの違いとは?
老人ホームのひとつに「特別養護老人ホーム」というのがあります。
名称が似ているので、イマイチ違いが分からず同じ施設と勘違いしている方も多くいますよね。
この2つの施設にはどのような違いがあるのでしょうか?
以下の表で確認していきましょう。
特別養護老人ホーム | 養護老人ホーム | |
---|---|---|
施設の目的 | 要介護3以上の高齢者に身体介護や生活支援を提供する | 生活環境や経済的に困窮した高齢者を対象に、社会復帰を促す |
入居基準 | 原則として要介護3以上 | 自立している高齢者 |
サービス内容 | 身体介護を中心とした自立支援 | 食事の提供や健康管理などの自立支援 |
費用 | 入居一時金:なし 月額利用料:8~13万円 |
入居一時金:なし 月額利用料:0~14万円 |
入居難易度 | 入居待機者が多く数ヵ月以上待つ場合がある | 市区町村が対象者の調査を行い入居を決定 |
養護老人ホームの入所基準とは?
養護老人ホームとは、経済面で生活が困窮しており、自宅で暮らすことが困難な高齢者が対象であると説明しました。
公益社会法人 全国老人福祉施設協議会によると、具体的には以下の入所条件が挙げられています。
- 65歳以上の独居老人
- 在宅生活が難しい方
- 介護が必要なく、身体的に自立している方
- 無年金などの理由で経済的に困窮している方
- 虐待を受けている方
- 法律に基づく施設に入居できない方
- ホームレスの方
- 犯罪歴のある方
- 賃貸住宅から退居させられた方
養護老人ホームの入所までの流れ
養護老人ホームに入居するとなったら、どうすればいいのでしょうか?
入所までの流れは以下の通りです。
- 入所相談
- 申し込み
- 調査
- 入所可否の審査
- 決定・入所
養護老人ホームへの入所は、役場にある福祉課などの担当窓口や居宅介護支援事業所、地域包括支援センターなどの機関に相談するところから始まります。
入所を決めたら、市区町村の窓口で申し込みをします。
申し込み後、「入所判定委員会」が健康診断の結果をもとに、入居が必要かの判断を下します。
具体的には、養護・心身・生計の状況をみて判断されるでしょう。
しかし、同居家族から虐待などを受けており、本人の生命に危険があると判断されたら、入所判定委員会の調査・審査ナシに入所が決定されます。
養護老人ホームの支援員が判断をしないのは変な感じがしますよね。
養護老人ホームでは日常生活の支援が中心
養護老人ホームでは、一般的な老人ホームで提供されているような介護サービスなどは提供されていません。
介護施設ではないので、当たり前ですよね。
日常生活を送るための基本的なサービスのみ提供されています。
たとえば、食事の提供や毎日の健康チェック、社会復帰に向けた自立支援などです。
経済面でのアドバイスや機能訓練なども必要に応じて行われます。
また、養護老人ホームによってはレクリエーションが実施されていることもあります。
クラブ活動や地域との交流など、用意されている企画はホームによって違ってくるでしょう。
養護老人ホームは介護サービスを提供する場ではありませんが、入所している方は高齢者なので、介護支援が必要になってしまうこともあるでしょう。
その場合は、外部の事業者と契約をして、介護サービスを利用することになります。
介護サービスが必要な方にオススメの施設!
ここまで養護老人ホームについて説明してきましたが、名称にあるよう「養護」が目的となった施設です。
いくら低価格で利用できるといっても、「介護サービスがついていないと心配…」と思う方もいますよね。
そのような方には、公的施設の老人ホームをオススメします。
公的施設とは、先ほどもでてきた特別養護老人ホームをはじめとする、公的機関が運営する老人ホームのことです。
利用料が養護老人ホームと同じくらいの低価格で、かつ介護サービスも提供されていますので安心して入所することができるでしょう。
公的施設には、以下の4施設があります。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護療養型医療施設
- 軽費老人ホーム(ケアハウス)
まとめ∼養護老人ホームの費用∼
最後まで読んでいただきありがとうございます。
養護老人ホームについては理解していただけたでしょうか?
介護サービスは提供されていませんが、事情を抱えた高齢者でもしっかり養護してくれる施設だということがわかりましたね。
収入によっては月額利用料ナシにもなり、かつ衣食住は約束されてますから孤独にもならず安心して暮らせるのではないでしょうか。
入所判定委員会の調査・審査に通らないといけないので誰でも利用できるというわけではありませんが、入所を検討している方はぜひ今回の記事を参考にしてみてください!
素敵な施設に出会えることを、心より祈っています!