5月4日に、新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」が、厚生労働省から公表されました。
緊急事態宣言解除後も新型コロナウイルスの感染を広げないために、日常生活に関わるような感染対策が公表されたのです。
今までメディアなどで提言されてきた、ソーシャルディスタンスや手洗い・うがいなどが主な内容となっています。
しかし、この「新しい生活様式」ですが、介護業界からは「こんなこと実践できるわけない!」と言った声が相次いでいるのです。
高齢者は新型コロナウイルスの感染リスクが高いですし、より一層感染対策に気を配っている業界だと思っていましたが、なぜ「新しい生活様式」を実践できないのでしょうか?
そこで今回は、新しい生活様式と介護業界について解説していきます!
ぜひ最後まで読んでみてください!
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新しい生活様式とは?
まず、5月4日に公表された「新しい生活様式」について説明していきたいと思います。
「新しい生活様式」とは、大きく4つの実践例に分けることができます。
- 一人ひとりの基本的感染対策
- 日常生活を営む上での基本的生活様式
- 日常生活の各場面別の生活様式
- 働き方の新しいスタイル
この上記の「新しい生活様式」は、介護現場では不可能だという声が多数挙げられているのです。
それは一体なぜなのでしょうか?
詳しく解説していきます。
1.一人ひとりの基本的感染対策
一人ひとりの基本的感染対策では、「身体的距離の確保」「マスクの着用」「手洗い」といった3つの基本が挙げられています。
「マスクの着用」と「手洗い」は、すでに介護業界では徹底されてきました。
しかし、「身体的距離の確保」は介護業界では厳しいという声が届いています。
介護では、要介護者の暮らしやすい生活を守るために身体的な接触は避けられません。
また、ふれあいによるケアも必要とされてきたからです。
訪問介護やデイサービスなどでは入浴などの身体介護が不可欠であり、「体に触れない介護はありえない。あの通りにやろうとすると何もできなくなる」と言う介護士からの意見もあります。
たしかに、いくら感染予防だとはいえ国の決まり通りに介護を行えば、十分な介護サービスを提供することは難しいですよね。
以前のような介護はもうできなくなってしまうということなのでしょうか…。
参考元 朝日新聞:新しい生活様式 介護では「ありえない」「根幹揺らぐ」
2.日常生活を営む上での基本的生活様式
日常生活を営む上での基本的生活様式では、「まめに手洗い・手指消毒」と「3密の回避(密集・密接・密閉)」が特に重要視されています。
介護では、排せつ介助もあり衛生面は常に意識されていたことから、以前より手洗い・手指消毒は徹底されていました。
しかし、介護業界での密集・密接・密閉の3密の回避は難しいでしょう。
よく利用される介護サービスのひとつであるデイサービスは、まさに3密の状態に当てはまるからです。
現場でのデイサービスは、感染のリスクを防ぐために自主休業をしているところも多くあります。
営業を続けているデイサービスでは、一度に集まる人数を減らし、関係を徹底するなどの対策をとっています。
ですので、3密になっている施設は以前よりも少ないでしょう。
しかし、全国的に緊急事態宣言が解除されれば、ご家族も自宅で介護ができなくなり、デイサービスを再び利用する人が増えるでしょう。
そうなってしまえば、高齢者の密集を避けることはできません。
デイサービスでは送迎を行ってくれることも大きなメリットですが、車内ってかなり「密」な空間ですよね。
体の不自由な高齢者が利用していることが多いので、送迎をなくすことはできませんし、必ず「密」の現場ができてしまいます。
緊急事態宣言解除後も、3密を避け続けなければいけないとなれば、デイサービスの在り方も変えていかなければいけないのかもしれません。
3.日常生活の各場面別の生活様式
買い物、娯楽・スポーツ等、公共交通機関の利用、食事、冠婚葬祭などの親族行事などでの注意が挙げられています。
介護業界に関する直接的な項目が挙げられているわけではありませんが、介護業界で日常生活のひとつと言っても過言ではないのが「面会」ですよね。
現在、多くの老人ホームでは、面会が中止されています。
緊急事態宣言が解除された都市でも、面会は再開されていません。
「看取り時期」など特別な状態の入居者に関しては、面会が許可される場合もありますが、マスク着用や検温など細かい条件が付いています。
たしかに、高齢者の新型コロナ感染のリスクは高いですから、「面会」という感染のリスクを止めているのは賢明な判断かもしれません。
しかし、親などの様子を見に行きたい気持ちもわかりますし、一人で施設にいるのも心細いのではないかと心配になってしまいますよね。
そこで現在では、「オンライン面会」を取り入れている施設もあります!
画面越しにはなってしまいますが、顔を見せ合っておしゃべりすることで、お互いに安心できるのではないでしょうか?
利用している介護施設は「オンライン面会」ができるのか、一度確認してみるようにしましょう。
4.働き方の新しいスタイル
働き方の新しいスタイルでは、テレワークが推奨されています。
緊急事態宣言が発令されて、実際にテレワークになった人も多いのではないでしょうか?
通勤電車・職場での3密を防ぐことができるテレワークですが、介護業界ではほぼ不可能に近いです。
介護業界の主な仕事内容は、「高齢者の介護」ですから直接的にサービスを行わなければいけません。
先ほども言ったように、身体的な接触やふれあいによるケアが必要となってくるからです。
実際に、そのような身体的な接触で新型コロナ感染のリスクを感じ、介護サービスをキャンセルする利用者も続出しています。
そのため、テレワーク等で仕事ができない介護職の方々は待機の時間が増え、さらには離職にまで追い込まれている方もいるのです。
対面でしか仕事ができない介護職の人にとって、テレワークなどの新しい働き方のスタイルは、厳しいものになっていきますね。
「新しい生活様式」を介護で守り抜くには!
「新しい生活様式」を確認して、介護業界にとっては難しいと感じた方が多くいると思います。
しかし、そう感じてしまうと要介護者がいるご家庭は不安を抱えてしまうのではないでしょうか?
「感染のリスクを考えたら新しい生活様式を元に暮らしていくべきなのはわかるけど、生活するにあたっては介護は絶対に必要だし…」と、堂々巡りな考えが頭をよぎることでしょう。
その結果、「この際、在宅での介護を頑張ろう!」と決意するご家族も少なくはありません。
しかし、今までプロに任せていた分、慣れない介護になりますから相当な覚悟が必要になってきます。
新型コロナによるストレスもありますし、介護に限界を感じるのも早いかもしれません。
もちろん、在宅介護を行っていて限界を感じるのは普通のことですので、このタイミングで在宅介護に切り替えるということが間違っているわけではありません!
しかし、少しでも在宅介護を不安に感じるのであれば、プロに任せてみるのはいかがでしょうか?
「それって結局、感染のリスクを背負うことになるじゃん!」と思う方もいるかもしれませんが、在宅介護では利用時間を選ぶことができるので、感染のリスクを考えた最低限の時間のみ利用することもできますよ。
ではここで、よく利用されている在宅介護サービスを紹介していきます!
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 訪問リハビリテーション
訪問介護
訪問介護とは、ホームヘルパーが要介護者などの自宅を訪問し、利用者が必要としている介護を提供するサービスです。
サービスを行う人は、訪問介護員といい「介護福祉士」や「ホームヘルパー」を指します。
ホームヘルパーとして働けるのは、「介護福祉士」「介護員養成研修修了者」「介護職員初任者研修修了者」など、専門的な知識を持ち資格を取得した人たちです。
訪問介護では、「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」の3つのサービスを行ってくれます。
「身体介護」では、主に食事介助・排泄介助・着脱介助・入浴介助が主なサービス内容です。
「生活介助」では、洗濯・掃除・買い物など、日常生活に必要な支援を行ってくれます。
「通院等乗降介助」では、通院の際に必要な乗車や降車を介助するサービスのことです。
訪問入浴介護
看護師や介護職員が、巡回入浴車で自宅を訪問し、入浴介助してくれるサービスです。
自宅の浴槽が利用できない人や、デイサービスなどを利用しているため入浴には介助がない人が、通常ではこのサービスを利用しています。
入浴前に血圧・体温測定などの体調確認が必ず行われ、体調に問題があったら部分浴や清拭に変更される場合もあります。
訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士が利用者の自宅でリハビリを行ってくれるサービスです。
自立できる人には歩行訓練、歩けない人には筋力をつけるための訓練、寝たきりの人には離床を促すなど、身体状況に合わせてリハビリを行ってくれます。
リハビリの内容によっては、環境を整えるために住宅のリフォームも必要となってきます。
介護業界の新しい生活様式 まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
介護業界の新しい生活様式については理解していただけたでしょうか?
現在、新型コロナウイルスの流行で、辛い状況が続いていると思います。
しかし、そのような状況の中で、少しでも感染者を減らすために自分にできることは何なのか、今一度考え直してみることが大切でしょう。
特に、高齢者の方と一緒に暮らしているご家族は、より一層注意をしなければいけません。
高齢者は新型コロナウイルスに感染してしまうと、死亡のリスクが非常に高いからです。
ご家族や身の回りの人、そして自分自身を守るためにも、「新しい生活様式」をもとに、できることは積極的に実践していきましょう!