介護が身近に感じる瞬間というのは、親が介護を必要としたときでしょう。
なんとなく、「親の介護は子どもの義務」って決まっているような感じがしませんか?
しかし、家族として介護サポートをしてあげたいと思っても、どうしていいかわからず「親の介護したくない!」と思う方は多くいます。
親との関係性が影響して、そう考える人もいるでしょう。
そのような場合、介護を必要としている親にどのようサポートをすればいいのででしょうか?
そこで今回は、「親の介護したくない!」と考えている人がすべき介護サポートについて詳しく解説していきたいと思います!
本当に親の介護は子どもの義務なのか?介護が必要になる前にしておくことはあるのか?なども説明していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
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親の介護は子どもの義務なの?
親の介護は子どもの義務のように感じますよね。
そもそも、なぜ介護の義務を子どもが背負わなければいけないのでしょうか?
まず、要介護者を中心に祖父母から孫まで、夫婦、兄弟姉妹は扶養・扶助する義務があります。
これは法律で定められているます。
介護というのは、その扶養・扶助の義務に当てはまっているのです。
親の介護となると、親の配偶者や兄弟姉妹は高齢だったり他界してしまったりしているので、子どもが介護の義務を担うケースがほとんどなのです。
親の介護の義務とは「お金の支援」
介護の義務を負うことになるとなったら、身体的な介護をイメージしますよね。
しかし、法律で定められているのは身体的な介護というわけでなく、「生活を助け合う義務」です。
つまり、「金銭的な支援」でも成り立つということです。
扶養・扶助といわれたら、なんとなく経済面での支援のことかな〜と想像はつきますよね。
衣食住の経費や医療費、介護サービス費など、日常生活に必要なお金を支援する義務があります。
たとえば、身体的な介護ができなくても、お金を出してホームヘルパーさんに来てもらえば介護の義務えお果たしていることになるのです。
親の介護の義務は強制じゃない
子どもの義務ということは、親の介護は必ずやらなければいけないことなのでしょうか?
実は、義務というのは強制ではなく、自身の生活に余裕があるときに発生します。
自分自身の家族で生活していくことが精一杯ならば、自身の生活を二の次にしてまで親の面倒を見る必要はありません。
では、その「余裕」というのは、どのような基準で判断されるのでしょうか?
ひとつの判断基準として、「生活保険基準額」より生活が困窮している場合は、現状の生活に余裕がないといえるでしょう。
社会的な地位に対しての生活具合や資産などをみて、家庭裁判所が総合的に判断します。
親の介護をしたくない場合は介護保険サービスを利用しよう!
親の介護は、経済的な支援でも子どもとしても義務を果たせるということがわかりました。
さまざまな事情で身体的介護を直接行いたくないと考えている人は、介護保険サービスを利用しましょう。
介護保険サービスには、以下の3種類があります。
- 居宅サービス
- 施設サービス
- 地域密着型サービス
それぞれのサービス内容を確認していきましょう。
1.居宅サービス
居宅サービスとは、自宅で暮らしている要介護者・要支援者が利用するサービスのことです。
また、自宅でなくても有料老人ホームに入居している方も利用することができます。
居宅サービスには、以下の4種類があります。
- 訪問サービス
- 通所サービス
- 短期入所サービス
- その他のサービス
それぞれのサービス内容を確認していきましょう。
訪問サービス
訪問サービスとは、利用者の自宅にホームヘルパーが訪問し、買い物や掃除などの生活支援や食事や排せつなどの身体介護を提供するサービスです。
サービスによっては看護師やリハビリ専門スタッフなどが訪問して、健康管理やリハビリ、入浴なども行ってくれます。
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
通所サービス
通所サービスとは、自宅で暮らす要介護者などが、施設に通って介護サービスを受けるサービスのことです。
訪問サービスと受けられるサービスはほとんど変わらず、身体介護や健康管理、入浴などのサービスが提供されています。
施設によっては、レクリエーションなども用意されているので、他の利用者と交流しながら楽しく通うことができますよ。
- 通所介護
- 通所リハビリテーション
短期入所サービス
短期入所サービスとは、普段は自宅で生活をしている要介護者などが、一定期間施設に宿泊するサービスのことです。
最長で連続30日間利用することができます。
短期利用でも、受けられるサービスは長期間利用している方と変わらないので、十分な介護サービスを受けることができるでしょう。
普段介護をしているご家族の休息期間として利用されることも多いです。
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 短期入所療養介護
その他のサービス
その他のサービスでは、要介護者・要支援者が自宅で快適に暮らせるようにさまざまなサービスが提供されています。
その他の居宅サービスは以下の通りです。
- 特定施設入居者生活介護
- 福祉用具貸与
- 特定福祉用具販売
- 住宅改修費支給
- 居宅療養管理指導
- 居宅介護支援
2.施設サービス
施設サービスとは、以下の4施設に入居している方に対して提供される介護サービスのことです。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
特別養護老人ホームでは、食事や入浴、排せつなどの介護が主に提供されています。
一方で、その他3施設では、医師に指示のもとで医療ケアや看護サービス、リハビリなども提供されています。
3.地域密着型サービス
地域密着型サービスとは、高齢者が住み慣れた地域でいつまでも元気に暮らせるように作られた制度で、事業所のある市町村に住民票を持っている方のみ利用できるサービスです。
地域密着型では、訪問・入所・短期入所などの居宅サービスや高齢者を対象にしたサービスなど、さまざまな内容のものが提供されています。
サービスの種類は多いですが、主に3つの形態に分けることができます。
- 訪問・通所型サービス
- 認知症対応型サービス
- 施設・特定施設型サービス
訪問・通所型サービス
地域密着型の訪問・通所型サービスでは、自宅で暮らしている要介護者・要支援者に対して、訪問または施設に受け入れてサービスを提供します。
提供しているサービスは、通常のものと変わらず生活支援や身体介護、健康管理などです。
現在では、地域密着型サービスといつくかの居宅サービスを合わせて提供する「複合型サービス」というのが誕生しています。
- 小規模多機能型居宅介護
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
認知症対応型サービス
地域密着型の認知症対応型サービスとは、いわゆる「グループホーム」のことです。
要支援2以上の認知症の方を対象に受け入れをしている老人ホームです。
入居しなくても通いでサービスを提供している施設もあり、生活支援や認知症ケアなどを提供してくれます。
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 認知症対応型通所介護
施設・特定施設型サービス
地域密着型の施設・特定施設型サービスは、地域の老人ホームに入居する高齢者に生活支援や身体介護などを提供するサービスです。
リハビリや看護サービス、見守りなどを行うこともあります。
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
お金の支援ができない場合は、親の生活保護を検討しよう
老人ホームや介護サービスを利用するのには、かなりの費用がかかります。
実際のところ、親自身のお金で介護保険サービスを利用してくれれば一番ありがたいですよね。
介護だけでなくお金の負担も軽減できるので、子どもたちが介護に関する援助をする必要がなくなります。
しかし、親が介護サービスを利用するお金がないから子どもたちが支援しないといけなくても、そこまで金銭の余裕がないという方も多くいるでしょう。
その場合は、親の生活保護受給も検討しましょう。
生活保護にいいイメージを持たない方もいるかもしれませんが、生活保護で入居できる老人ホームもあるので、受給するメリットは大きいです。
生活保護を受けられる条件は、以下の4つです。
- 資産をもっていない人
- 働くことができない人
- 他に利用できる公的制度がない人
- 親族からの支援が受けられない人
「親族からの支援を受けられない人」とあるため、親の生活保護受給を申請したら役所から子どもの資産についての調査や支援が可能かどうか確認されることがあります。
あくまでも確認なので、支援については任意の協力依頼です。
法的に支援を強制されているわけではないので、断ることもできるでしょう。
しかし、社会的・倫理的には認められにくいので、断ることはあまりオススメできません。
そのため、本当に金銭的に親を支援できないときだけ、生活保護を受けることを検討しましょう。
生活保護で入れる老人ホームは以下の3施設です。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 住宅型有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
介護についてよくわからないから親の介護をしたくない!
人によっては金銭面の問題ではなく、介護の実態を理解していないために「親の介護をしたくない!」と思っている方もいるでしょう。
たしかに、介護の段階はさまざまでいつから始めればいいのか、どの程度の介護をしてあげればいいのかなど、初めてだとよくわからないですよね。
そのような方は、まず介護の段階を理解しておく必要があるでしょう。
身体状況や必要な介護というのは、要支援1~要支援2・要介護1~要介護5までの7段階で分けられています。
以下の表で確認していきましょう。
要支援1 | 起き上がりや立ち上がりに支援が必要 |
要支援2 | 日常の意思決定や買い物などに支援が必要 |
要介護1 | 排せつや入浴などに部分的な介護が必要 |
要介護2 | 歩行や起き上がりなどに部分的な介護が必要 |
要介護3 | 立ち上がりや歩行が自力では困難で、衣服の着脱などにも介護が必要 |
要介護4 | 日常生活ほぼ全般を介護ナシでは行うことが困難 |
要介護5 | 意思の伝達も困難になり、介護ナシでは日常生活を送るのが不可能 |
遠方で介護ができないなら遠距離介護という手段も!
「親の介護をしたくない!」というよりも、遠方に住んでいるため物理的に介護が行えないという方もいるでしょう。
そのような方は、「遠距離介護」に挑戦してみてください。
遠距離介護では、さまざまなサービスを利用することでお互いに不自由ない介護を実現することができます。
遠距離介護の支援では、以下のサービスを中心に利用するといいでしょう。
- 介護保険サービスの利用
- 自治体が提供するサービスの利用
- ボランティア団体が提供するサービスの利用
- 民間サービスの利用
また、介護サービス以外にも近所の方と交流を深めておくことで、何かあったときに手助けしてもらえる可能性が高いです。
実家に帰った際には、挨拶などをして親の身体状況を説明しておくといいかもしれませんね。
親が元気なうちにいろいろ話しておく
「親の介護したくない!」というのは、意外と多くの人が抱えている悩みです。
しかし、今回説明したように子どもには親の介護といった義務があります。
身体的な介護でも、金銭面からのサポートでも、何かしらは行わなければいけないでしょう。
親の介護したくない・できないと考えている人は、親が元気なうちに話しておくことをオススメします。
理想の老後を聞いておくことで、子どもがすべきサポートというのが明確になってくるからです。
お金が必要なら親にも貯蓄を始めておいてもらうなど、さまざまな工夫ができるでしょう。
また、自身に兄弟姉妹がいる人は、親に介護が必要になったらどのようにサポートしておくか話し合っておくこともオススメします。
身体介護をやってもらう代わりに金銭の援助を行うなど、そのご家庭にあった親の介護の割り振りが見つかるはずです。
まとめ~親の介護したくない~
最後まで読んでいただきありがとうございます。
「親の介護したくない!」と思いを抱えている人に、少しは助けになる記事になっていたでしょうか?
介護というのは身体的介護のみを表すものだと思っていましたが、金銭的な支援でも介護の義務を果たせるとなったらさまざまなサポート方法がありそうですね。
「親の介護したくない」と一括りに言っても、人それぞれ事情が違います。
最近では介護疲れも問題となっていますから、自分の生活スタイルや家庭環境などと合わせて最適なサポート方法を見つけられるといいでしょう。
親の介護で悩んでいる方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください!