『親が認知症になってしまい、今はまだ大丈夫ですがいつか要介護になってしまうと思うと怖いです。』
『働かなければ生きていけないのに、親が要介護状態になってしまいました。介護離職をしないと親の面倒を看ることができませんが、働かないと経済的に大変です。解決策はないのでしょうか。』
仕事をしている方が進歩胃することの一つに『親の介護問題』があります。
介護は、避けては通れない道ですので必ず考えておかなければならない問題です。
今の日本では仕事と介護の両立をしようとして、うつ病になってしまう方も少なくありません。
今回の記事では、介護離職の現状や問題点、改善策などを解説します。
今現在、介護と仕事を両立している方やこれから介護離職をしようと考えている方はぜひ参考にしてください。
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介護離職とは?
そもそも、介護離職という言葉を聞いたことがないという方もいらっしゃるかもしれませんので簡単に解説しますね。
介護離職というのは、介護と仕事の両立が困難になってしまい、介護をするために仕事を辞めてしまうことです。
介護離職をしてしまうと、収入源がなくなってしまい経済的にも厳しい状況に陥ってしまうことがほとんどです。
そのため、生活保護に頼ることになってしまうという負の習慣が日本の社会問題の一つとして取り上げられています。
『まだ30代だし関係ないかな!』と思う方も中にはいると思いますが、だれしもいつかぶつかる壁だということを覚えておきましょう。
また、今後団塊の世代が70代に突入したときにますます介護離職が増えることでしょう。
介護離職の現状
介護離職がどれほど問題になっているのか、日本の現状を確認しましょう。
年間の介護離職者数
年間にどれだけの人数が介護離職をしているのか確認しましょう。
7月13日、総務省が「平成29年就業構造基本調査」を発表し、2016年10月から2017年9月までの1年間で、介護離職者の数が9万9,000人だったことを明らかにしました。2012年に行われた前回調査では10万1,000人でしたので、ほぼ横ばいの状況となっています。
年代・性別
次は、年間にどのような年代・性別の人が介護離職をしているのか確認しましょう。
介護離職者の性別をみると、男性は2万4,000人、女性が7万5,000人で、全体の8割を女性が占めているという状況。年齢別では、50代が全体の37%と最も多く、次いで60代の30%、40代の18%と続いています。
働きながら介護をしている
介護と仕事を両立している人の人数は、346万人ほどいると考えられています。
介護をしながら仕事をしないといけないという現状ですね…。
また、一度介護離職をした人が再就職できた方というのは、離職者全体の25%しかいないという統計が出ています。
これらの問題を見てもらえばわかると思いますが、状況はかなり深刻です。
介護離職については、これからの日本の大きな課題になっていくことは間違いありません。
介護離職をした後の問題
仮にこの記事を読んでいるあなたが介護離職をしたとしましょう。
そうすると以下の問題が浮かぶことになります。
- 精神的にも肉体的にもつらい
- 再就職が難しい
- 経済的に厳しい
- 好きなことや趣味をする時間が無くなる
これら一つずつ解説します。
精神的にも肉体的にもつらい
仕事を辞めたとしても、介護をしなくてはならないため身体的にも精神的にも負担が掛かってしまいます。
というのも、24時間介護をしなければならないからです。
いくら親とは言っても、排せつ物や入浴の介護までしなければいけないので、精神的に苦痛を感じてしまいます。
また、排せつや入浴の介護では、体を支えてあげなければいけないこともあり、介護している側の方の足腰が傷んでしまう可能性もあります。
このような点から、精神的にも身体的にもつらい状況が生まれてしまいます。
また、介護の辛さから、介護自殺や介護殺人・うつ病になってしまう方もいます。
特に、介護しているという責任感から精神的に追い込まれてしまうことが多いです。
これ以外にも、介護に疲れてしまい家族を殺してしまうという有名な事件も起きてしまったことがありますね。
殺人だけではなく、一家心中をしてしまった事件というのもあります。
介護疲れから、うつ病や介護殺人、一家心中などを引き起こしてしまう可能性があるので、気を張りすぎてしまうと危険です。
いつでも相談できるような家族や知り合いがいるとストレス緩和になるので一人で抱え込むことだけはやめましょう。
また、厚生労働省のサイトには、介護の悩みに対して電話相談ができるサービスもあるので、困ったときには電話をしてみるのもいいですね。
再就職が難しい
先ほども紹介した通り、一度介護離職をした人が再就職できた方というのは、離職者全体の25%しかいないという統計が出ています。
仮に再就職できたとしても、正社員としてではなく、契約社員として働くことがほとんどです。
経済的に厳しい
会社を辞めてしまうということは、収入源がなくなってしまうため、経済的な負担が増加してしまうということは言うまでもありません。
加えて、介護をするときに必要なモノの負担も加わるので、経済的にはかなり厳しくなります。
ただ、貯金額や資産が本当になくなってしまったら生活保護を受けることも可能なので、生きていけなくなることはありません。
好きなことや趣味をする時間が無くなる
生活保護を受けることに繋がってくるのですが、貯金額や資産がなくなってしまうと、趣味や好きなことをする時間もお金も無くなってしまうのです。
生きていくためだけに生活するようになってしまうので、うつ病になってしまうという方お少なくありません。
介護で疲れてお金も無くなってしまうということが、介護離職の最大の問題点ですね。
介護離職を防ぐ方法
介護離職をしなくても済むような方法はないのでしょうか。
今回は、介護離職をしなくても済むような制度・方法を5つほど紹介します。
- 介護休暇や介護休業を利用する
- リモートワークを利用する
- フレックスタイム制を利用する
- 家族や配偶者の力を借りる
- 介護サービスを利用する
これら一つずつ解説しますね。
介護休暇や介護休業を利用する
介護休暇や介護休業について知っている方は少ないような印象を持っています。
介護休暇は、病気・怪我や高齢などの理由で、家族に介護が必要になった際に取得できる休暇のことです。時間単位で取得することができ、排泄・食事介助などの直接的な介護以外にも、必要な買い物や書類の手続きを行う際にも利用が可能です。
介護休業や介護休業は、法律によって定められている、介護と仕事を両立してできるようにするための制度です。
ただ、介護休暇や介護休業を使ったことがあると答えた方は、全体の10%も満たないという結果が出ています。
なぜ10%にも満たしていないのかというと、
- 会社にこのような制度があるということを知らないから
- 申請しても受け入れてもらえないから
- 会社に対して罪悪感を持ってしまう
このような理由から制度を利用できていない方も多いということがわかります。
介護休暇・介護休業の条件
介護休暇や介護休業を取得するためにはいくつかの条件があります。
介護休暇を取得することができる方は、
- 要介護状態にある家族を介護する目的がある方
- 雇用期間が半年以上(正社員・派遣社員・パート・アルバイトなど全従業員が対象)
一方で介護休暇を利用できない方は、
- 日雇い労働者
- 雇用期間が半年以内
- 一週間の労働日数が2日以内の方
この中に当てはまらない方は介護休暇を取ることができます。
また、こちらの制度は一年間に5日まで取得することができるので、当てはまっている方はぜひこちらの制度を利用してみましょう。
リモートワークを利用する
最近話題となっているリモートワークを利用することで、介護離職を防ぐことも可能です。
「リモートワーク」とは、在籍する会社のオフィスに出社せず、自宅やレンタルオフィスなど、会社から離れた(リモート)場所で業務を遂行する勤務形態。ほぼ同義のテレワークやいわゆる在宅勤務のことです。
近年では、IT企業やネット上で完結するような職種の会社では、仕事と介護を両立できる働き方として、注目を集めています。
通勤の必要がなくなり、1日家で仕事をすることができるのが、リモートワークの良い点です。
リモートワークを利用することができる職種というのはあまり多くはないですが、リモートワークをすることができるのであれば、介護離職をすることはなくなりますね。
フレックスタイム制を利用する
フレックスタイム制とは、従業員が日々の始業・終業時刻を自身で決定して働く事ができる制度で、導入する場合には、就業規則でフレックスタイム制について規定をし、労使協定を締結しなければいけません(届出は不要)。
この説明の通り、始業時間と就業時間を自分で決めることができる制度です。
この制度を利用することで、『親をデイサービスに届けてから出社』のような使い方をすることができるのです。
しかし、フレックスタイム制には問題点もあります。
すべてのタイムマネジメントを自分で行わなければならないため、時間にルーズな人にとっては難しいです。
また、働く時間自体は変わらないため、介護と仕事で使われてしまうことも変わりません。
ただ、柔軟な時間の使い方ができるという点で、おすすめしています。
家族や配偶者の力を借りる
1人で介護というのは絶対に限界を迎えてしまいます。
そうならないためにも、兄弟や親戚、配偶者の方に介護を任せられるようにしましょう。
どうしても、介護を分担するのは難しいという方もいると思うので、『お金を出す人』と『介護をする人』など、役割分担をする必要があります。
また、一人っ子の方は悩むことが多いと思います。
一人っ子の方向けに介護の解決策を紹介している記事があるので、参考にしてみてください。
介護サービスを利用する
老人ホームや介護施設を利用することによって、介護離職をすることなく介護をしてもらうことができます。
老人ホームだと月に20万円ほどかかってしまうので、どうしても支払いができないというかたもいると思います。
そんな時には、介護保険サービスを利用することで解決できる可能性があります。
次は、介護保険サービスについて解説します。
介護保険サービスを利用しよう
一番の解決方法としては、『介護保険サービスを利用する』ことです。
介護保険サービスとは、介護保険を支払っている40代以上の方が利用することができる介護施設や介護サービスのことです。
以下に当てはまる方であれば介護保険サービスを利用することができます。
65歳以上(第一号被保険者) | 40~64歳(第二号被保険者) | |
---|---|---|
対象者 | 65歳以上 | 40~64歳の健保組合・全国健康保険協会・市区町村国保などの医療保険に加入している方 |
受給要件 | 要支援・要介護状態 | 要支援・要介護が特定疾患によって起因している場合 |
保険料の徴収方法 | 基本的には年金から天引き | 医療保険料と一緒に徴収 |
支払いの方法は上記の表のとおりです。
特定疾患とは、
がん(末期)
関節リウマチ
筋萎縮性側索硬化症
後縦靱帯骨化症
骨折を伴う骨粗鬆症
初老期における認知症
進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
脊髄小脳変性症
脊柱管狭窄症
早老症
多系統萎縮症
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
脳血管疾患
閉塞性動脈硬化症
慢性閉塞性肺疾患
両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
これらの病気のことを指しています。
上記の特定疾患よって、40~64歳の方が要支援・要介護状態になってしまった場合に介護保険サービスを利用することができます。
仮に上記の特定疾患によって40歳未満の方が要支援・要介護状態になってしまったとしても、介護保険サービスを利用することはできません。
おすすめの介護保険サービス
ここからは、おすすめの介護保険サービスを簡単に説明します。
在宅介護でも限界を迎えてしまうことがあるので、そうなる前に介護施設を利用することをおすすめします。
- 訪問型サービス
- 通所型サービス
- 短期滞在型サービス
- 地域密着型サービス
訪問型サービス
サービス名 | サービス内容 |
---|---|
訪問介護 | 身体介護・生活介護 |
訪問入浴介護 | 入浴者で自宅を訪問し 入浴の介護を行う |
訪問看護 | 看護師が訪問し、療養上の世話や診療を行う |
訪問リハビリテーション | 必要なリハビリの資格者(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)が訪れてリハビリを行う |
居宅療養管理指導 | 様々な資格者が家を訪問し、管理や指導を行う |
このような種類の訪問サービスがあります。
通所型サービス
サービス名 | サービス内容 |
---|---|
デイサービス | リハビリや機能訓練、生活介護などを行う |
デイケア | リハビリや生活介護を行う |
このような種類の通所型サービスがあります。
短期滞在型サービス
サービス名 | サービス内容 |
---|---|
短期入所生活介護(ショートステイ) | 特別養護老人ホームやその他の介護施設に短期間入所して、その介護施設のサービスを受けることができるサービス |
短期入所療養介護(ショートステイ) | 介護老人保健施設や介護療養型医療施設に短期間入所して、介護に必要なリハビリを受けることができるサービス |
このような種類の短期滞在型サービスがあります。
地域密着型サービス
サービス名 | サービス内容 |
---|---|
夜間対応型訪問介護 | 夜間にホームヘルパーが訪問し、排せつや日常生活上の世話をしてもらえる |
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 認知症の方が入居する介護施設 |
認知症対応型通所介護 | デイサービスセンターで認知症の方を対象とした機能回復訓練を行う |
小規模多機能居宅介護 | 通所サービスを中心として、事業所への宿泊や自宅への訪問サービスなど色々なサービスを受けられる |
複合型サービス | 小規模多機能居宅介護と訪問介護の両方の機能を持っているサービス |
地域密着型特定施設入居者生活介護 | 定員が29名以下と定められている有料老人ホーム |
地域密着型介護福祉施設入居者生活介護 | 定員が29名以下と定められている特別養護老人ホーム |
このような種類の地域密着型サービスがあります。
ここで紹介している介護保険サービスを利用すれば、少ない費用で介護施設に入居することが可能です。
ぜひ参考にしてください。
老人ホームを利用することに罪悪感を持ってしまう方へ
老人ホームに親を入れることに対して罪悪感を持ってしまう方も少なからずいますね。
特に、まじめな方が罪悪感を持ってしまう傾向があります。
このような気持ちを持ってしまうこともわかるのですが、在宅介護を続けて両方とも倒れてしまっては全く意味がありません。
そうなってしまう前に老人ホームに入居してもらい、できるだけ面会に行ってあげたほうがお互いに幸せになれることが多いです。
また、介護をされている側の方も『息子・娘に介護をさせてしまって申し訳ない』という罪悪感を持ってしまう方もいます。
それを解決するために老人ホームはあるので、罪悪感を捨てて入居してもらうことをおすすめします。
老人ホームには週に何回か面会に行くことでお互いの寂しさを緩和することもできるので、安心してください。
『介護うつ』になる前に入居の決断をしましょう。
まとめ
介護離職が起きてしまう原因と解決方法についてまとめてきましたが、理解していただけたでしょうか。
なかなかすぐに行動を起こすことは難しいかと思いますが、介護と仕事を両立させることも難しい決断です。
まずは、ケアマネージャーやお住まいの市区町村の役場に行き、相談してみましょう。